東日本大震災から2年。あの未曾有の大災害を教訓に、日本各地で防災、減災に対する意識が高まっている。各地では度々、防災啓発イベントやセミナーが催されるようになり、防災や減災関連の商品にも、震災前とは比べ物にならないくらい数が増え、消費者の関心も高まっているようだ。
これには、「万が一に備える」という防災意識が大きくなったことはもとより、震災以降続いている余震や、懸念されている誘発地震に対する警戒の意識もあるだろう。とくに、大地震の振動の影響や、地下の歪みの変化、本震時に解放されきれなかったエネルギーが放出されるにことなどよって起こるとされる誘発地震に関しては、震災後3年以上後になっても起こる可能性が指摘されており、今後10年ほどは東日本周辺では注意が必要といわれている。そして「その日」は、たとえ今日だったとしても、何ら不思議ではないのだ。
防災や減災とひと口に言っても、出来ること、やっておくべきことは様々だ。何から手をつけていいのか分からないという人も多いだろう。でも、いざ起こってしまったときに必要なものは何かと考えると、少しは備えやすくなるかもしれない。
地震や津波に限らず、災害が起こってしまったときに、何よりもまず大事なのは命。そして、それを維持するためには最低限の水と食料が必要だ。助けが来るまで命を繋がなくてはならない。水と食料が確保できたら、次は情報だ。自分を取り巻く環境が今、どのような状況にあるのか。どこに逃げれば安全かということを知ることができれば、二次的な被害を被る可能性は最小限に抑えられるだろう。
東日本大震災のときに大活躍したものの一つに、携帯電話がある。携帯電話やスマートフォンは、誰かと連絡を取り合うだけでなく、情報収集にも大いに役立つ。震災以降、これらの機器を防災や減災に活用するアプリなどの開発も活発になっている。
例えば、本田技研工業<7267>は同社のカーナビゲーションシステムユーザーを対象とした独自のテレマティクスを中心とした交通情報サービス「インターナビ」の関連アプリとして、スマートフォン用アプリ「インターナビ・リンク」と「Honda Moto LINC(ホンダ モト・リンク)」の津波警報などの通知機能を進化させるとともに、津波警報などが発表された際、避難地点までの距離や徒歩での所要時間、経路が一目で分かる「逃げ地図」(株式会社日建設計制作)を表示する機能などを3月末に追加し、防災・減災に役立つ機能を強化している。また、さらに、災害や気象情報、通行止めなど、車両による移動に影響を与える情報をユーザーが投稿し、共有できる「インターナビ・リポート」も3月末より無料で提供している。既存の情報では把握することが難しい、リアルタイムな道路状況や気象等に関する情報が得られるサービスとして活用出来るだろう。
避難袋等ももちろん大事だが、今や携帯やスマホは、ほとんどの人が寝るときも身近に置いている世の中。災害時にもおそらく持って出るであろうことを考えれば、インターナビならずとも、いざというときに情報収集が容易にできるアプリをインストールしておくことも、私たちにできる、防災・減災活動の一つなのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)