2003年5月9日。鹿児島県内之浦から一基の小惑星探査機が打ち上げられた。「はやぶさ」と名付けられたその無人探査機は、地球から約3億kmも離れた直径わずか540mの小惑星イトカワを目指し、長い航海に出た。
無事に目的の惑星に着陸したものの、離陸後に化学エンジンの燃料漏れを起こし、その影響か7日間も通信不能に陥ったり、地球帰還目前にしてイオンエンジンが異常停止するなど、数々のトラブルに見舞われたにもかかわらず、2010年6月13日に地球に帰還。その後、満身創痍の状態で帰還した「はやぶさ」のエピソードは、感動の物語として、なんと計四作もの映画化がなされた。
20世紀フォックス製作の「はやぶさ/HAYABUSA」がアメリカ合衆国の主要10都市で公開されたほか、東映製作の「はやぶさ 遥かなる帰還」、松竹配給・製作の『おかえり、はやぶさ』、そして角川フィルムインク配給で全編CG製作された「はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH」は、もともとは日本全国のプラネタリウムでのみ上映されるはずの作品だったが、反響が大きく、映画館で公開されることになった。また、小説や漫画化されたりメディアミックスして大いに盛り上がり、惑星探査という本来の目的のみならず、経済的にも大きく日本に貢献したといえる。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)ではすでに、はやぶさの継続機として小惑星探査機「はやぶさ2」の開発を進めており、順調にいけば、2014年に打ち上げの予定をしている。「はやぶさ」が、あまりにも人気が高かったため、打ち上げ時には「はやぶさ2」にも大きな注目が集まるものとみられているが、これに先立ってJAXAでは、4月10日~7月16日の期間限定で、この「はやぶさ2」に載せるイラストや寄せ書き、メッセージ、そして小惑星に接地する際の目安となる「ターゲットマーカー」に刻む名前と、「再突入カプセル」に搭載するメモリチップに記録する名前などを募集すると発表した。
メッセージやイラストは、(1)未来に向けた夢や想い、(2)東日本大震災からの復興に向けた希望や期待、(3)その他(自由テーマ)で募集。詳細や登録フォーム、郵送先などは、4月10日からWebサイトで公開される。
宇宙旅行に行けるのはまだまだ遠い日の話だとしても、自分のメッセージや思いが探査船に載せてもらえるのは現実的で何とも夢のある話だ。また、トラブルは無いに越したことはないが、「はやぶさ2」も先代同様のドラマを抱えて無事に帰還し、日本中に希望と感動を再び与えて欲しいものだ。(編集担当:藤原伊織)