上場企業の希望・早期退職者募集状況、昨年を上回る勢い

2013年04月09日 18:39

 2009年のリーマン・ショック以降、徐々にその数を減らしていた企業による希望・早期退職制度の実施。しかし昨年から徐々に増加を始め、今年もその傾向を引き継いでいるようである。

 東京商工リサーチによると、2013年に希望・早期退職者募集実施を公表した上場企業が、4月5日現在で34社に達したという。これは前年の63社の半数を超えており、景気の回復動向とは裏腹な状況となっている。

 募集人数の最多は、ルネサスエレクトロニクス<6723>(グループ会社を含む)の3千数百人。次いで、日本無線<6751>の650人、NTN<6472>(グループ会社を含む)の600人、富士通<6702>の300人、ローム<6963>の250人と続き、募集人数が100人以上の企業は、判明した34社のほぼ半数にあたる16社となった。さらに応募期間が終了した企業をみると、JUKI<6440>が募集人数200人に対して応募人数が234人、タムラ製作所<6768>が同200人に対して213人、双葉電子工業<6986>も同150人に対して213人と、募集人数に対して応募人数が上回る企業が多く見られ、募集人員を大幅に下回った企業は、ローム(募集250人に対して219人の応募)や電通<4324>(100人募集に対して62人の応募)といった一部の企業にとどまっている。

 昨年末からの円安や株価上昇など国内景気に改善の動きが見られる。しかし、電気機器産業を中心にその動向は鈍く、業績が回復した企業でも収益構造に見合った最適人員化に向けて動くとみられている。2011年にグループ合計で約10000人規模の人員削減を実施すると発表して以降、昨年の希望・早期退職者募集に2000人以上の人間が職を辞したリコー<7752>をはじめ、単発での早期退職者募集ではなく、長期に渡る大規模な人員削減策を実施中の企業も少なくない。こうした中で、「解雇をしやすくしよう」という動きも見られ、雇用を巡る動向がにわかに騒がしくなっている。政府の政策をはじめ、今後の動きに注視する必要があるであろう。(編集担当:井畑学)