ヤマハ発動機、電動二輪で世界トップを狙う

2010年07月15日 11:00

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ヤマハ発動機が14日発表した電動二輪車「EC-03(イーシーゼロスリー)」。経済産業省クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金対象車となっている。(東京都文京区の椿山荘にて行われた製品発表会にて)

 ヤマハ発動機 <7272> は14日、100%電気エネルギーで走るエレクトリックコミューターの新製品「EC-03(イーシーゼロスリー)」を発表した。

 CO2排出量の大幅な増加が懸念される中、自動車メーカーなどによる、EVをはじめとする次世代動力源の開発競争にも拍車がかかってきた。各国の行政も、EVの普及に向けた充電施設等のインフラ整備への取り組みを進めており、まさに世界は低炭素社会に向けて突き進もうとしている。そんな中、ヤマハ発動機は今年の2月に2020年に向けた中長期成長戦略の中で発表した「スマートパワー(環境性能に優れた次世代動力源)」の取組みのひとつとして、次世代型電動二輪車「EC-03」を9月1日より首都圏で、10月1日より全国で発売する。

 「EC-03」は、独自に開発した超薄型パワーユニット(YIPU)を搭載することで発進・低速域でのトルク特性を向上。さらに三洋電機 <6764> 製の高エネルギー密度50V新リチウムイオンバッテリーを採用したことで、常に滑らかで快適な走行と力強い加速感を実現している。また、家庭や外出先でも簡単に充電できるプラグイン充電方式を新しく採用し、一充電当たりの走行距離43km(30km/h定地走行の場合)を確保。他にも、メーターやコントローラー、バッテリー、充電器の4系統が常にそれぞれの情報を共有する同社独自の相互通信制御システムで手軽な操作性を可能にし、アルミ合金製フレームの採用により軽量・コンパクト化を実現するなど、まさに「スマートパワー」を具現化したモデルとなっている。

 椿山荘(東京都文京区)にて行われた製品発表で挨拶にたった同社の柳弘之社長は「今回のEC-03の国内投入を皮切りに、2011年には台湾、欧州と順次、海外の電動二輪車市場へ進出していきます。さらに、今後は、高出力モデルや高機能モデル、低価格モデルの開発を進め、2010年代の中頃までにはラインナップの充実を図り、将来的には電動二輪車市場においてトップシェアの獲得目指します。」とコメントした。

 同社は二輪車におけるスマートパワーの開発を1980年代から続けている。1991年に東京モーターショーに参考出品した電動二輪車「FROG(フロッグ)」をきっかけに、1993年には世界初の電動アシスト自転車「PAS」を発表。2003年には燃料電池車を開発し発表するなど、革新的な技術で業界を牽引してきた。二輪車において、常に新しい技術に果敢に挑戦し、後のスタンダードを築き上げてきたYAMAHAは、今度は未来の低炭素社会に向けた移動手段の新しい姿を我々に示そうとしている。
(編集担当:北尾準)