【日経平均】海外要因による波状的な円高で209円安

2013年04月15日 19:59

 前週12日のNYダウは「8セント安」。アメリカの3月の小売売上高が前月比-0.4%で市場予測を下回り、ミシガン大学消費者態度指数も下落して、5日の雇用統計の非農業部門雇用者数が示していた小売業の業況悪化が確かめられた。それと並んで懸念される建設業の業況は今週発表される住宅統計で確かめられる。北朝鮮のミサイルの発射もドル円の100円タッチもいまだになく、15日朝方の為替レートは、アメリカの財務省が議会に提出した「為替報告書」で日本の円安に懸念を示したためドル円は一時97円台にタッチし98円前半、ユーロ円は129円近辺と、前週末よりも円高に振れた。日経平均は139.28円安の13345.86円で始まり静かなスタート。13400円にタッチしてもすぐに下落し、13300円台で底堅いが上値は抑えられる展開。後場に入ると中国の1~3月期のGDP成長率が発表され、+7.7%で前年10~12月期より0.2ポイント鈍化し、市場予測を0.3ポイント下回ったために為替の円高が進行。日経平均は一時13257円まで下落した。その後は13300円台を回復していたが、大引け間際に再びドル円97円台、ユーロ円127円まで円高が進行したため、終値は209.48円安の13275.66円と13300円を割り込んだ。TOPIXは-14.58の1133.99で9日ぶりのマイナス。売買高は42億株で、売買代金はかろうじて3兆円を超えた。

 東証1部全体の約68%が下げたため、値上がりセクターは電気・ガス、水産・農林、その他製造、陸運、食料品、サービスの6業種のみ。値下がり幅が大きいセクターは非鉄金属、鉄鋼、鉱業、不動産、石油・石炭、その他金融、銀行などだった。

 金融、不動産、輸出関連株は揃って下落。メガバンクは全て下落したが三井住友FG<8316>の155円安が大きい。野村HD<8604>は7円安。三井不動産<8801>は130円安、三菱地所<8802>は70円安、住友不動産<8830>は170円安で、ケネディックス<4321>も下げた。トヨタ<7203>は120円安と4日ぶりに反落し、ホンダ<7267>は70円安、マツダ<7261>は10円安。東京エレクトロン<8035>165円安、京セラ<6971>190円安、信越化学<4063>150円安など値がさハイテク株の大幅安が、ファーストリテイリング<9983>の900円安とともに日経平均を押し下げた。海運株も不振。中国のGDP成長率の不振で上海市場も軟調で、ファナック<6954>が200円安、コマツ<6301>が72円安、日立建機<6305>が52円安、三井物産<8031>が42円安、三菱商事<8058>が48円安と中国関連株が軒並み売られていた。

 上昇株が多かったのは内需系、ディフェンシブ系やテーマ株。情報・通信ではソフトバンク<9984>は30円安だったが、NTT<9432>は40円高で10日続伸。JT<2914>は30円高で年初来高値を更新し、セコム<9735>は70円高。陸運ではTDL30周年のご祝儀で120円高になったオリエンタルランド<4661>の筆頭株主の京成<9009>が12円高。小売ではJフロントリテイリング<3086>が15円高、ベスト電器<8175>が30円高で値上がり率8位に入り、店舗ディスプレイの乃村工藝社<9716>が55円高で値上がり率18位に入ったのが目立った。小売・外食関係の2月期決算は区切りがついたが、吉野家HD<9861>は3期ぶりの最終赤字でも株価上昇。ダイエー<8263>は2015年に黒字化するという中期経営計画を発表して15円高。マルエツ<8178>は2月期決算が経常利益75%減と悪かったため10円安だった。

 12日の値上がり率ランキングにゾロゾロ入った電力株の好調はこの日も続き、東京電力<9501>は7億株余りが取引されて売買高、売買代金とも1位で52円高。値上がり率10位に入った。それ以上に上昇が派手だったのが関西電力<9503>で、192円高で値上がり率6位に入り売買高7位、売買代金4位。九州電力<9508>は160円高で値上がり率13位、売買代金10位に入った。東北電力<9506>も61円高で、いずれも年初来高値を更新している。電力再編期待、原発の再稼働期待が背景にあるが、短期的な利ざや稼ぎに利用されているという指摘もある。

 原発関連の日本製鋼所<5631>は室蘭事業所で一時帰休を実施という報道で売られ28円安。NEC<6701>は4円高。富士通<6702>は「定期昇給9ヵ月凍結」というニュースで3円安だったが、その母体の富士電機<6504>は13円高で年初来高値をつけた。

 鳥インフルエンザ関連の大幸薬品<4574>は175円高で値上がり率15位。「タミフル」の中外製薬<4519>も58円高と買われたが、この日、スポットライトを浴びたのはマスク素材関連のシキボウ<3109>で、23円高で年初来高値を更新し値上がり率4位、売買高13位だった。薬品株の武田<4502>は3月期決算の営業利益が糖尿病薬の特許切れの影響が出て4割減という業績観測記事が出て70円安と売られた。

 この日の主役はパイオニア<6773>とシャープ<6753>。13日にシャープが有利子負債減らしのためにパイオニア株3000万株を売却すると報じられた。パイオニアは9円高で売買高12位に入ったが、売買高2位、売買代金3位とそれ以上に買いを集めたのがシャープで、値上がり率17位の35円高で年初来高値を更新してこれで8日続伸。ソニー<6758>とパナソニック<6752>が1円安とふるわなかったのとは対照的だった。昨年秋に産業界と株式市場に大ショックを与えた「巨額最終赤字三兄弟」も財務立て直しのメドがつきつつあり、交代で物色されている。(編集担当:寺尾淳)