【日経平均】64円安でもTOPIXは8日続伸

2013年04月12日 19:46

 NYダウは62ドル高で4日続伸し史上最高値の未知の空間を進む。12日朝方の為替レートはユーロ円は130円台後半まで円安が進んでも、ドル円は100円寸前で何度も押し返されタッチすらできず99円台後半に張り付いたまま。「1ドル=100円」には為替オプションや仕組み債のトリガーなどが複雑にぶら下がっていてストップロスや償還になっては困る勢力が結構あるようで、この「ガラスの天井」は相当強固だ。

 オプション取引と日経平均ミニ先物のマイナーSQ算出日である12日の日経平均は19.09円高の13568.25円で始まったが、すぐ下落し13500円を割り込む。それでも午前9時6分頃に出た推定SQ値は13608.19円と高い。その後は売り買いが交錯し13500円をはさんでもみあう展開だったが、TOPIXは堅調でときどきプラスに浮上。それでもやはり利益確定売りの金曜日で、前引けにかけてズルズル下落した。後場は逆に徐々に値を切り上げていくが13500円台にはあと一歩届かず終値は64.02円安の13485.14円で、終値ベースでは3勝2敗でも前週末比で651円高、5%上昇して今週の取引を終えた。TOPIXは+1.28の1148.57と「NTねじれ現象」が出現し8日続伸。前週末比+82で7.7%上昇し、今週の株式市場の陰の主役はTOPIXだった。売買高は45億株、売買代金は3兆6596億円で、3兆円超えは日銀の金融緩和策が発表された4日から7日続いている。

 チャートは午前9時にSQ狙いの買いが集中して高くなり、後は下げる「寄り天パターン」で、SQ値はそれが出た時点の現値より100円以上も高かったため、日経平均が最後までそれに届かずに終わる「まぼろしのSQ」になった。それは下落に向かうサインとされている。なお、この日も大引けまでドル円は100円にタッチできず、北朝鮮のミサイルは発射されなかった。

 値上がり銘柄は588で値下がり銘柄は1020。業種別騰落率の上位は電気・ガス、海運、不動産、保険、ゴム、パルプ・紙などで、下位はその他金融、その他製造、倉庫、陸運、食料品、機械などだった。

 ファーストリテイリング<9983>は取引開始直後に大幅下落、その直後に大幅上昇と、SQ算出日の朝の「御三家」らしい乱高下を見せたが結局430円安。売買代金5位に入った。前日に9~2月期の決算発表を行ったが、3月に「ユニクロのしまむら<8227>化」とも言われた大幅値下げセールに追い込まれた国内販売の不振と海外販売の好調ぶりが浮き彫りになった。通期の最終利益は28%増の915億円に上方修正している。ファナック<6954>は300円安と8日ぶりに反落し、ソフトバンク<9984>も50円安で、御三家合計で日経平均を35円押し下げた。

 その代わりを務めたのが大手不動産で、三井不動産<8801>が140円高で年初来高値更新、住友不動産<8830>が135円高、三菱地所<8802>が120円高で日経平均プラス寄与度1~3位を占め、合計で14円寄与してこの日限定の「新・御三家」。東急不動産<8815>は67円高、東京建物<8804>は40円高、不動産流動化のケネディックス<4321>も大幅高で売買代金4位だった。クレディスイス証券は3月8日に「金融緩和効果をすでに織り込み済み」として不動産セクター全体の投資判断を引き下げていたが、4日に出た日銀の異次元の規制緩和に恐れ入ったようで、この日は逆に引き上げた。

 電力株、不動産株とともに上昇著しかったのが海運株で、商船三井<9104>が25円の大幅高で年初来高値を更新し、値上がり率ランキングの15位に24円高の共栄タンカー<9130>、16位に11円高の第一中央汽船<9132>、19位に35円高の乾汽船<9113>が入った。海運はTPP関連だが特に買い材料は見当たらず循環物色とみられる。

 時価総額が大きくTOPIX寄与度が高い銘柄が買われる傾向はこの日も続き、日立<6501>は4円高、東芝<6702>は10円高でともに8日続伸。日立のように証券コードの下2ケタが「01」の各業種の代表銘柄が買われる「01現象」が起きていて、新日鐵住金<5401>、東京電力<9501>、三井不動産なども商いを伴って上昇していた。

 その「01銘柄」の一つ、日産自動車<7201>はSUV生産のアメリカ移管を先送りにして9円高で年初来高値更新。為替の円安で国内で生産して輸出してもペイできるという判断で、同様の生産の国内シフトは自動車各社にも波及しそうだ。その日産やトヨタ<7203>、ホンダ<7267>、マツダ<7261>など各社が採用するエアバッグで国内73万台、全世界で292万台がリコールを余儀なくされるという報道が出たが、トヨタは20円高、ホンダは10円高で年初来高値更新、マツダは1円安だった。問題のエアバッグを製造しているのはタカタ<7312>で33円安。自動車各社はTPPの先行交渉が始まるので、来週はまた動きがありそうだ。