支援企業も登場…認定低炭素住宅制度

2013年04月29日 15:32

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ジャーブネットが販売する認定低炭素住宅「木和美(きわみ)S+」。

 昨年12月に施行された「都市の低炭素化の促進に関する法律」。いよいよ2020年の省エネ基準の義務化を見据えた動きが始まったが、実際のその動きで一番重要とも言える中小工務店が携わる一般住宅の普及はどのようになっているのだろうか。

 「低炭素住宅」。二酸化炭素の排出を抑えるよう工夫が施された住宅のことだが、省エネ法に基づく省エネ基準と同等以上の断熱性を確保した建物で、節水対策やHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の設置など8項目に渡る措置から2つ以上を講じていれば「認定低炭素住宅」としてローン減税や登録免許税の税率も引き下げられるなど様々な優遇措置が受けられる。

 この「認定低炭素住宅」普及に最も関わるであろうと言われているのが中小の工務店だ。

 大手住宅メーカーはすでに「認定低炭素住宅」よりもハードルの高い「長期優良住宅」をクリアしている商品を市場に投入しており、2020年の省エネ基準の義務化は果たしていると言ってもよい。だが、大手が提供する住宅よりも圧倒的なシェアである中小の住宅メーカーや地域の工務店が手がける一般住宅がこの基準をクリアしなければ、ゼロエネ住宅で溢れる低炭素社会に進むことはできない。

 そのためのステップである「認定低炭素住宅」の建築には専門的な知識や費用・手続きが必要となることから、現在、様々な取り組みや商品開発が行われている。

 いち早くこの動きに対応した商品を市場に投入したのが、アキュラホームが主宰する工務店ネットワークである「ジャーブネット」。今年の1月に同認定制度に対応した企画住宅「木和美(きわみ)S」を500棟限定で販売した。そして、4月26日からは同商品の太陽光発電システムをグレードアップさせた「木和美S+」の限定500棟販売を開始した。さらに、同ネットワークでは同住宅認定申請のサポートも工務店向けに行っており、手厚い支援体制を整えている。

 一方、同住宅の申請をトータルで支援する動きを開始したのが、LIXIL<5938>とYKK APの部材メーカーだ。LIXILは2月から全国の工務店向けに「認定低炭素住宅 適合サポート」を導入し、木造戸建住宅を対象に認定申請に必要な躯体の断熱性能・一次エネルギー消費量の計算をはじめ、その基準をクリアするために必要な建物・設備仕様の検討、申請図書の作成などをトータルでサポートする。YKK APは同社の100%子会社であるプロスが、工務店を対象に同制度の説明や提案を行い、低炭素住宅の普及促進を目指す。サポート内容としては、同住宅建築物認定の技術的な相談や住宅性能評価機関への適合証発行までの技術的審査の依頼、認定基準に必要な外皮性能や一次エネルギー消費量の計算、申請図書の作成を行う。

 「低炭素住宅認定制度」に対する商品の市場投入や申請サポート業務ビジネスの登場など、徐々にではあるが業界的には活況を呈してきている。しかし、参入企業の不足や作り手の意識改革など、まだまだ課題が多く、普及と呼ぶには程遠い状況だ。(編集担当:加藤隆文)