オランダの家電メーカー「フィリップス」が、いよいよ6月に近未来型のテレビを発売することで話題になっている。薄型テレビ以来の衝撃になりそうなこの新型テレビの名称は「DesignLine」。これまでの家庭用テレビと大きく違うのは、「置く」のではなく「立てかける」ことのようだ。
「DesignLine」のフロント部分は1枚のシームレスガラスでできており、電源を切った状態でみると、まるで黒っぽい一枚のガラス板。薄型テレビよりも、さらに超極薄なこのテレビは、フレームやテレビスタンドがなく、壁に立てかけることができる。
フィリップス社の特徴である軽さと透過性を顕著にほどこした製品で、発売が発表されるや否や、デザインの美しさで話題を呼んだ。しかも、ただ薄いだけではなく、スクリーンの上と左右3カ所にライトがついていて、画面の映像とシンクロした光が壁に反射し、まるでスクリーンが宙に浮いているかのような不思議な感覚を味わうこともできる。
画面の大きさは46インチと55インチの2サイズが用意されており、46インチが2000ポンド(約28万6000円)、55インチが2800ポンド(約40万円)という価格設定。残念ながら、当面はイギリスのみでの販売となるようだが、世界各国でグローバルに展開する同企業だけに、近い将来、日本での販売も期待できるだろう。
日本の液晶テレビ業界は、依然として苦境の中に立たされている。そして、それを打開するために、国内メーカーはこぞって、右へならえするように「4K」解像度への道を走り始めている。しかし、一般消費者は本当にそんなに高画質ばかりを求めているのだろうか。お茶の間やマンションの一室で、4Kの解像度が本当に必要とされているのかには、はなはだ疑問が残る。しかも、4K高解像度を必要とする高画質なコンテンツもまだまだ少ないのが現状だ。スペックはもちろん大事だが、この苦境を脱して消費を喚起するためには、日本メーカーが苦手とするプロダクトデザインの力を見直す時期に来ているのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)