トクホの市場規模、ヒット商品不在などにより20%縮小に

2010年05月21日 11:00

 特定保健食品(トクホ)の市場規模は、長期化する景気の低迷により、2年前に比べ、約2割も縮小していることがわかった。

 日本健康・栄養食品協会の調べによると、2009年のトクホ市場は5497億円で、2年前の6798億円を大きく下回る結果となった。1997年の調査開始以来、2007年までは規模を拡大し続けてきたが、今回の調査では一転、減少に転じた。

 トクホは、91年に国が食品に健康表示(健康への効用をしめす表現)を許可する画期的な制度として世界に先駆けてスタート。93年に表示許可第1号の商品が誕生して以来、健康食品ブームなども重なり、各メーカーは競ってトクホをアピールした新商品を続々と発表し、2007年までその市場規模は拡大の一途をたどってきた。現在の表示許可数は915品目に上っている。

 ここにきて急激に規模が縮小している背景には、大型不況による消費者の低価格志向や、ヒット新商品の不在、花王の「エコナ」問題などで消費者に安全性への不安が広がった点などが挙げられる。

 流通別では通信販売が132億円(同116%増)、ドラッグストアー、薬店なども61%増と好調だったものの、最大販売ルートであるスーパーは17%減、CVSも18%減と振るわなかった。

 発足から来年で20周年を迎えるトクホ制度。所管が厚生労働省から消費者庁へ移り、新体制のもと、これからが本当の価値が問われることになっていくだろう。
(編集担当:北尾準)