太陽光発電モジュールはこれからの建売住宅のスタンダードになるか

2013年05月12日 17:41

 2011年の震災以降、節電はもちろん「創電」に対する意識が高まっている。

 国も、住宅の屋根に太陽光発電モジュールを設置するにあたって、その費用に充てる補助金を交付したり、余剰電力の買取制度を導入するなど、家庭での創電を奨励している。

 しかしながら、売電単価は、09年の1キロワットアワーあたり48円をピークに、12年は42円、そして今年は38円と年々引き下げられている傾向にあり、補助金の方も徐々に金額が少なくなっているのが現状だ。

 ただし、その分、楽天ソーラーやソフトバンク<9984>などの新興メーカーが参入したことで価格競争が起こっており、太陽光の発電システム自体の価格も下がっているので、依然として購入しやすい状況であることには変わりはない。

 とはいえ、初期費用や維持費などを考えると、一般家庭ではなかなか導入しにくいというのも現状だ。また、費用の問題だけでなく、工事の仕様によっては屋根の耐久力を低下させる可能性を指摘する声もある。せっかくの持ち家なのに、そんなことになって修繕費用がかさんだら目も当てられない。様々な問題を考えると、メリットよりもデメリットの方が先に立ち、躊躇してしまう人が多いようだ。
 
 いっそ、建築当初から屋根に設置しておいてくれればと思った人も多いだろう。

 そんな要望に応えるべく、京都府相楽郡の「けいはんな公園都市」で開発が進められている新街区「MiraiPa!(ミライパ!)」の分譲住宅、第1期及び第2期の計80戸に京セラ株式会社<6971>の太陽光発電システム「SAMURAI(R)」、「ECONOROOTS ADVANCE(R)」、「ECONOROOTS(R)」の3シリーズが採用されることで話題となっている。

 「MiraiPa!」は、先端技術と豊かな緑の共存をテーマに京阪電気鉄道株式会社<9045>と京阪電鉄不動産株式会社、三井不動産株式会社<8801>、三井不動産レジデンシャル株式会社、野村不動産株式会社<3231>の3グループ5社が住宅開発を進める環境共生型の地域だ。ここで販売される建売分譲住宅には、京セラの太陽光発電システムだけでなく、ガスコージェネレーションシステムなどが標準装備される。

 建設時からトータルで施工が行われているので当然、建物本体への負担も少なく、外観を損なうこともない。入居当日から節電と売電によって光熱費も軽減できるとあって、評判も上々のようだ。

 たしかに、後からの工事で設置するよりは費用の面でもコストダウンが図れるだろうし、街区画すべての住宅に設置されているという安心感もあるから、購入や導入のハードルはぐっと下がるだろう。

 また、消費者の方にも「どうせなら、太陽光発電を導入したい」という潜在的な思いを抱いている人も多いので、住宅メーカーの大きなセールスポイントにもなり得る。おそらく、今後はこういうかたちの建売住宅の販売形式が増えてくるのではないだろうか。

 折りしも、アベノミクスの経済効果で不動産の需要が伸びているこの時期、「MiraiPa!」第1期は本年5月中旬、第2期には10月に竣工予定となっている。(編集担当:藤原伊織)