【日経平均】15700円台にタッチする勢いで終値15627円

2013年05月22日 20:19

 NYダウは52ドル高で、数字で日経平均を抜き返した。「本日の連銀総裁」はセントルイス連銀のブラード総裁が量的緩和継続を支持すると、NY連銀のダドリー総裁が量的緩和の調整は増加も縮小もありうると発言しても株価上昇。22日朝方の為替レートはドル円が102円台前半、ユーロ円が132円台前半で前日より少し円安。4月の貿易統計速報は過去最大の赤字だったが、為替は全く反応しなかった。
 
取引開始前、52営業日ぶりに外資系証券経由売買注文状況観測が株数で売り越しになり「今日こそ調整か」と思われた日経平均だったが、59.67円高の15440.69円で始まり、アッと言う間に15500円台に乗せて売買高は10億株を突破し、10時半すぎには早くも15500円台後半に達した。昼休みに「景気判断上方修正、金融政策現状維持」という日銀の金融政策決定会合の結果が伝わったが、株価、為替にはほとんど影響なし。後場は15500円台後半で始まるが、前場の個人投資家中心のにぎわい、日銀会合の結果を見て海外の機関投資家にスイッチが入ったようで、日経平均先物先行の大量買い出動で午後2時前に15600円台に乗せてさらに急伸し、2時半すぎにはなんと15700円にタッチ。だが、さすがに大引け後の黒田日銀総裁の記者会見、バーナンキFRB議長の議会証言を前にワルノリが過ぎると思われたようで、大引け直前には下落し終値は246.24円高の15627.26円だった。2007年12月11日以来5年5ヵ月ぶりに終値15600円台を回復して4連騰。売買高は63億株で4月5日と僅差の史上2位。売買代金は3兆9732億円だった。
 
 日経平均は大幅高でも小型株指数はマイナスで、値上がり銘柄743よりも値下がり銘柄853のほうが多く、TOPIXは+5.64の1276.03と地味な上昇。業種別では空運、非鉄金属、建設、陸運、保険、精密機器などが上昇し、電気・ガス、その他金融、証券、鉱業、サービス業、金属製品などが下落した。
 
 午後2時台の急騰の主人公は言わずと知れたファーストリテイリング<9983>で、値上がり率16位の2850円高で株価40000円台乗せ。日経平均寄与度は114円で、それがなければ終値は15500円台そこそこだった。

 「低位株デイトレで小銭稼ぎ」「テーマ銘柄に買い集中」「材料があればこじつけ承知の連想買い」「変わり身の早い循環物色」「少し下げれば抜け目なく押し目買い」といった個人投資家の個別物色で年初来高値、ストップ高が続出する状況はこの日も続く。それで祭り上げられ年初来高値を更新した銘柄には、一時ストップ高の50円高になり終値26円高で値上がり率5位、売買高5位の双日<2768>、一時455円高、終値360円高で値上がり率9位に入った日揮<1963>、茨城県の石炭火力発電所を中部電力<9502>が東京電力<9501>と組んで建設するニュースで一時32円高の住石HD<1514>、ベトナムで二輪車用蓄電池の生産倍増と報じられ一時99円高のGSユアサ<6674>、羽田空港の拡張前倒しによる欧米路線の増便期待で一時20円高のANAHD<9202>などがあった。
 
 売買高14位のユニチカ<3103>、値上がり率6位の林兼産業<2286>は前日終値が2ケタ、同7位の古河機械金属<5715>は148円、売買高3位の長谷工<1808>は139円で、格好の低位株物色ターゲットだった。
 
 一方、後場に急伸した銘柄には、ロシアに研修施設を設けて新興国で内視鏡市場を積極開拓すると報じられ、270円高で値上がり率13位に入り時価総額が1兆円を突破したオリンパス<7733>、98円高で値上がり率4位のミツミ電機<6767>などがあった。
 
 債券先物市場は朝から荒れ、日銀会合の結果が出るとさらに乱高下し、長期金利は一時0.9%にタッチした。それに振り回されて株価がプラスとマイナスの間で乱高下したのが一時68円高、終値51円安のアイフル<8515>や、多くの不動産関連銘柄だった。
 
 東京電力は値下がり率4位の78円安で5日ぶり反落。三菱自動車<7211>は値下がり率12位の13円安でも連日の10億株超えで売買高1位。売買代金も東電に次ぐ2位だった。前日の主役の太陽光発電関連の高島<8007>、三晃金属<1972>、サニックス<4651>は値下がり率1~3位に入り投資家の変わり身は早い。デンソー<6902>は、自動車部品のカルテル問題で幹部2人が罪状を認め禁固刑に服し罰金を支払う司法取引に同意したというニュースで80円安だった。
 
 この日の主役はソニー<6758>。NY市場でもADRが買いを集め、東京市場では最初の6分間は買い気配で値がつかず、終値は127円の大幅高。5月14日、ヘッジファンド「サード・ポイント」のダニエル・ローブ氏が東京まで来て、エンタテインメント部門の一部を分社化してアメリカの市場に上場させ、エレクトロニクス事業に集中させるという株主提案を平井一夫社長に行ったが、それをソニーが取締役会にはかり前向きに検討すると報じられて買いを集めた。取締役会議長を6月に退任するハワード・ストリンガー前社長は、MGMやBMGを買収しエンタテインメント事業を拡大した立役者。この提案を身を切られるような思いで聞くのだろうか。(編集担当:寺尾淳)