株式市場にとって日銀の市場への資金供給は味方にもなれば敵にもなる
前週末10日のNYダウは35ドル高で史上最高値更新。10~11日にロンドン近郊のエイルズベリーで開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議では2月の前回G7の「為替相場を政策目標としない」という声明が改めて確認され、麻生太郎財務相によると円安やアベノミクスへのけん制発言は出なかったという。それで安心して円安が進行し、13日朝方の為替レートはドル円が102円近辺、ユーロ円が132円台前半になった。
日経平均終値は174.67円高の14782.21円と続伸。TOPIXは+21.60の1232.20。売買高53億株、売買代金4兆1272億円という大商いだった。東証1部33業種の上昇セクターは証券、銀行、その他金融、保険、機械、輸送用機器と金融関係と輸出関連が上位に並び、下落セクターは鉱業、パルプ・紙、倉庫、医薬品、陸運、食料品などだった。
13日のNYダウは26ドル安。アメリカの4月の小売売上高はマイナスの予測に反してプラスだったが、11日付ウォール・ストリート・ジャーナルの「FRBがQE3の出口戦略を検討」という記事が影響して終始売り優勢だった。14日朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が132円台前半で前日とあまり変わらない水準だった。
日経平均終値は23.79円安の14758.42円で3日ぶりの反落。TOPIXは-1.40の1230.80。売買高44億株、売買代金3兆4047億円。セクター別では、電気・ガス、パルプ・紙、鉱業、石油・石炭、建設、情報・通信などが値上がり上位、不動産、その他金融、銀行、倉庫、証券、ゴムなどが値下がり上位だった。
14日のNYダウは123ドルの大幅高で史上初の15200ドル台乗せ。有力ヘッジファンドの創業者デビッド・テッパー氏が景気や市場について強気の発言をしたのが効いた。15日朝方の為替レートはドル円は102円台前半、ユーロ円は132円台前半でドル円は円安進行。
日経平均は203.92円高の14962.34円で始まり、3分後ついに15000円の大台に乗せた。終値は337.61円高の15096.03円で5年4ヵ月ぶりの15000円台乗せ。TOPIXは+22.05の1252.85だった。売買高57億株は過去3番目で売買代金は4兆4701億円。
業種別騰落率マイナスは9業種あり、その他金融、建設、不動産、サービス、倉庫、電気・ガスの下落率が大きい。プラスのセクター上位は輸送用機器、電気機器、食料品、保険、ガラス・土石、繊維などだった。
15日のNYダウは60ドル高で史上最高値更新。NAHB住宅市場指数が市場予測を上回っても卸売物価指数(PPI)や鉱工業生産指数が低下するなど経済指標がまちまちでも、「QE3の出口はまだ先」と解釈されれば株価は上昇する。16日朝方の為替レートは、ドル円は102円台前半で前日とほぼ同じ水準でも、ユーロ円は131円台後半で円安がやや後退。ただしこれはユーロを売って株価好調のドルを買う動きが活発だったため。取引開始直前に発表された日本の1~3月期のGDP速報値は前期比0.9%増、年率換算で+3.5%で、市場予測の+2.8%を0.7ポイントも上回るポジティブサプライズ。
しかし、日経平均始値は50.02円高の15146.05円と上昇は控えめで、その後はプラスとマイナスを行ったり来たり。午前11時すぎには15000円の大台も割った。後場は一段安になり14900円もたびたび割り込んで、このまま終わるかと思われた午後2時半すぎ、登場したのが日銀のETF買い入れ出動、人呼んで「日銀砲」。4月26日以来の188億円の実弾が市場で炸裂し、最後は15000円の大台に乗せて終値は58.79円安の15037.24円だった。TOPIXは-7.62の1245.23。売買高は51億株、売買代金は4兆835億円でこの日も大商いだった。
業種別騰落率のプラスは電気・ガス、精密、ガラス、その他金融、不動産、空運など10業種。マイナスが大きかったのは銀行、小売、海運、サービス、水産・農林、建設などだった。
16日のNYダウは42ドル安。消費者物価指数(CPI)、住宅着工件数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数は全て弱含みだが、最大の下落要因はQE3の出口論議で、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が量的緩和の早期縮小に言及した。17日朝方の為替レートは、ドル円は102円台前半、ユーロ円は131円台後半で、前日からの動きは乏しい。取引開始直前に発表された日本の3月の機械受注統計は前年同月比2.4%増、前月比では14.2%で市場予測の2.8%を11.4ポイント上回り、ポジティブサプライズだった。
しかし、日経平均始値は110.82円安の14926.42円。さらに14902円まで下げたが、1時間後には15000円の大台にリカバリーしていた。下げの原因は日銀が予告していた2兆8000億円の国債買入オペ。それによる債券価格上昇を見込んで株式先物を売って債券先物を買う資金の流れが起き、大型株中心に株価が下落して日経平均が弱含みになった。それでも株式市場の地合いは堅調で、TOPIXは早い段階でプラス圏で安定し、日経平均も一時プラスにタッチ。後場の株式市場はうって変わって買い戻しが進み、終値は100.88円高の15138.12円で年初来高値を更新し、530.58円上昇した今週の取引を終えた。TOPIXは+8.01の1253.24。売買高は44億株、売買代金は4兆4018億円で、今週で最も少なかった。
業種別のマイナスは食料品、銀行、電気・ガス、鉱業、その他製品の5業種のみ。プラスの上位はその他金融、不動産、水産・農林、建設、海運、ガラスなどだった。(編集担当:寺尾淳)