【日経平均】62億株の大商いで大引け直前にプラス転換

2013年05月21日 20:27

 週明けのNYダウは19ドルの小幅安。バーナンキFRB議長の議会証言前のデリケートな様子見ムードの中、シカゴ連銀のエバンス総裁の「2014年までに自律的な景気回復」発言が量的緩和策縮小と深読みされて下げた。終値は15335ドルで、通貨単位は違うが日経平均の数字がNYダウの数字を25上回り、5月20日時点の「NN倍率=1超え」達成は2010年5月以来3年ぶり。21日朝方の為替レートはドル円が102円台前半、ユーロ円が131円台後半で若干円高だった。
 
2日間で323円上昇したこともあり調整が入ると予想された日経平均は96.02円安の15264.79円で始まった。下げ幅を縮小してTOPIXが先にプラスになり、日経平均も15300円台を回復し午前10時すぎにはプラス圏に浮上。調整局面は1時間余りで終わった。ところが後場は一転マイナス圏スタート。プラスにタッチしては押し戻される動きを繰り返し「今日はやっぱり調整か」と思いきや、大引け直前の上昇でプラス圏に滑り込み終値は20.21円高の15381.02円で3日続伸。TOPIXも+0.88の1270.39でプラスだった。売買高は62億株で4月5日に次ぐ史上第2位の大商い。売買代金は4兆263億円で、5月8日から3兆円以上が10日続いている。
 
 値上がり銘柄711より値下がり銘柄924のほうが多かったが、業種別騰落率は17対16でプラスが優勢。値上がりセクターは鉄鋼、卸売、石油・石炭、鉱業、非鉄金属、空運など。値下がりセクターは不動産、その他金融、陸運、情報・通信、食料品、銀行などだった。
 
 大引け直前の急騰で逆転サヨナラを演出したのは住友商事<8053>、三菱商事<8058>、三井物産<8031>、伊藤忠商事<8001>の総合商社4銘柄で、合わせて日経平均を14円押し上げた。「御三家」は完全に脇役で、ソフトバンク<9984>は日経新聞で6月に4000億円規模の個人向け社債を発行すると報じられ、230円安で日経平均を27円引き下げマイナス寄与度トップ。スプリント・ネクステルの買収にあてる資金だが、今年前半だけで社債発行額が1兆円を超えるため明らかに株価下落要因である。
 
 前日、大手企業の3月期決算の最後を飾ったのが損害保険大手3社で、東京海上HD<8766>は海外収益の拡大で最終利益22倍を好感され45円高で年初来高値を更新したが、大幅増益でも主力の自動車保険が不振でNKSJHD<8630>は87円安、MS&ADHD<8725>は10円安。ソニーFHD<8729>はJPモルガン証券が投資判断を引き上げたにもかかわらず63円安だった。
 
 鉄鋼株がブレークし、神戸製鋼<5406>が28円高で値上がり率6位、三菱製鋼<5632>が44円高で同7位、日新製鋼HD<5413>が103円高、JFEHD<5411>は186円高、新日鐵住金<5401>も16円高だった。自動車では日産<7201>と共同開発の新型軽の生産を始めた三菱自動車<7211>の売買が約10億株とすさまじく、売買高は東京電力<9501>にほぼ倍の差をつけ1位。売買代金は東電に譲り2位だったが、値上がり率は最後ストップ高の50円高で34.25%上昇し1位。電機ではソニー<6758>にならい今年度中に400億円規模の資産売却を行うと報じられたシャープ<6753>が48円高で株価を600円に乗せた。ボーイング787がアメリカで営業運航を再開し、6月に運航再開するANAHD<9202>は5円高、JAL<9201>は85円高でともに年初来高値更新。787のバッテリーを製造するGSユアサ<6674>はストップ高比例配分の80円高で値上がり率8位だった。
 
 長期金利はこの日も一時0.895%をつけるなど高止まりし、大手だけでなくケネディックス<4321>が値下がり率4位、サンフロンティア不動産<8934>が同6位になるなど不動産の軟調は止まらない。銀行、その他金融も軒並み下げた。22日までの日銀金融政策決定会合で何か対策がとられるか。
 
 この日の主役は太陽光発電関連銘柄。経済産業省が住宅の屋根を借りて太陽光発電パネルを設置した企業に低利融資を行う新制度を設けると報じられ、「政策に売りなし」で買いが集中した。前日ストップ高のサニックス<4651>は27円高で続伸。三晃金属<1972>、高島<8007>はともにストップ高の80円高で、値上がり率2位、4位に入った。新興市場では前日に発表した決算で今期最終黒字転換のフェローテック<6890>がストップ高比例配分の100円高、エヌピーシー<6255>もストップ高比例配分の80円高、ファーストエスコ<9514>もストップ高で、ウエストHD<1407>も大幅高だった。日経新聞によると、企業が約200万円の初期投資費用を負担し、売電で得た収入の一部を屋根を貸した家庭に賃料として支払うというビジネスモデルで、安倍内閣が秋の臨時国会に提出する予定の「産業競争力強化法案」に盛り込まれる。ソーラーパネルを設置させればもらえる賃料で、長期金利上昇に伴う住宅ローンの金利上昇分を相殺できるだろうか。(編集担当:寺尾淳)