【日経平均】来週の展望

2013年05月19日 16:19

 業績相場終了で外部要因の影響を受けやすい

 5月第4週(20~24日)は5日間の取引。国内主要企業の3月期決算発表は、20日の月曜日にNKSJHD<8630>、MS&ADHD<8725>、ソニーFHD<8729>、東京海上HD<8766>と損害保険大手がまとまって発表する他は、知名度のある企業は20日のシダックス<4837>、フェローテック<6890>、光通信<8435>ぐらいしか残っていないので、業績相場は完全に終了する。3月期決算企業の第1四半期決算の業績発表は夏の参議院選挙で国民がアベノミクスをはじめ安倍内閣の政策に最初の審判を下した後になる。なお、22日にはソニー<6758>が経営方針説明会を開く予定で、「サード・ポイント」のダニエル・ローブ氏が行った株主提案にどう対応するか注目される。

 国内の経済指標は、20日は3月の景気動向指数、4月の首都圏・近畿圏マンション市場動向、4月のコンビニ売上高、5月の月例経済報告、21日は3月の全産業活動指数、22日は4月の貿易収支(通関ベース)が、それぞれ発表される。21~22日には日銀の金融政策決定会合が開催され、22日午後に決定内容が発表され黒田総裁が記者会見を行う。23日には日銀の金融経済月報が出て、24日は黒田総裁が東証の昼休みの時間帯に帝国ホテルで講演を行う予定で、来週は日銀の周辺があわただしい。しかし4月4日に金融緩和政策を全部一気に出したので、22日に何か新しいものが出るとしても微調整程度とみられる。

 海外の経済指標は、20日はアメリカの4月のシカゴ連銀全米活動指数、21日はイギリス、香港の消費者物価指数(CPI)、22日はユーロ圏の3月の経常収支、アメリカの4月の中古住宅販売件数がそれぞれ発表され、22日には4月30日~5月1日のFOMC議事録も公開される。23日は中国の5月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、ユーロ圏の5月の製造業およびサービス部門の購買担当者景気指数(PMI)速報値、5月の消費者信頼感指数、ドイツ、フランスの5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、アメリカの3月の住宅価格指数、4月の新築住宅販売件数が、24日はアメリカの4月の耐久財受注が、それぞれ発表される。22日にはEU首脳会議が開催される。同じ22日にはFRBのバーナンキ議長が景気見通しについて議会で証言する予定だが、QE3の出口をほのめかすような話は出ないと予想されている。それでも連銀総裁あたりの発言には引き続き要警戒だろう。アメリカの主要企業の決算発表は、21日にホーム・デポ、22日にヒューレット・パッカードが予定されている。

 日経平均は終値ベースでは前週5月7日に14000円台に乗せ、今週15日に15000円台に乗せた。その間、暦日で8日、営業日で6日というスピードは、いくら何でも速すぎる。3ヵ月で10000円上昇するようなペースで、その調子だと今年暮れの大納会には40000円台という水準に達し、バブル経済の頂点だった24年前の大納会の史上最高値38915円を軽々と上回ってしまう。

 終値ベースで13000円台に乗せた「甘利越え」は4月8日で、そこから14000円台まで暦日で約1ヵ月かかっている。その前の12000円台乗せは3月8日だったので、その間隔もちょうど1ヵ月。ということは、5月前半の連休明けの1週間と1日だけで、6月上旬頃までの1ヵ月分の上昇を先取りしてしまったことになる。

 そのため「スピード調整」「日柄調整」という言葉が今週は頻繁に聞かれたが、下げて調整局面に入るかと思われても半日程度で次の上昇局面が来てしまい、16日も17日も終値では15000円台をキープしている。1週間の日経平均のプラス、マイナスの星取が1勝4敗で終わるような調整らしい調整が全く見られないのがこの半年なのだが、それでも調整が入って上昇にブレーキがかかる可能性は高まっていて、上値が抑えられて高値追いの「16000円チャレンジ」はちょっと考えにくい。逆に15000円を割り込む日があっても少しも不思議ではないが、急落したら抜け目のない押し目買い出動に、撃ち方が上達した「日銀砲」まで待ちかまえているから、底堅く戻されるだろう。

 来週は、決算発表に影響されて個別株物色が優勢で同じ業種の銘柄が高安まちまちになりやすい業績相場が20日で完全に終わるので、市場はNYダウ、為替、金利、政策、地政学的リスク、事件・事故など外部要因の影響をよりいっそう受けやすくなるだろう。たとえば為替のドル円レートが1円50銭円高に振れて自動車株が一斉に下落するとか、長期金利が0.1ポイント下落して不動産関連が一斉に上昇するとか、政府内で新たな訪日観光客誘致策が浮上してテーマパーク、観光に関係する銘柄に一斉に火がつくといった現象である。中国が尖閣諸島にチョッカイを出したり、北朝鮮がミサイル発射や核実験に動く兆候が現れれば防衛関連銘柄がランキング上位に顔を出すだろう。もちろんキプロスの時のようなヨーロッパ発の危機が起きれば悪影響は市場全体に及ぶことになる。アメリカのQE3の出口論議からも目が離せない。

 そうしたことも考えると来週はけっこう波乱含みで、ハプニングにも要警戒。日経平均の変動レンジは15000円を軸に14700~15300円とみる。(編集担当:寺尾淳)