出産費用 10月から事前用意不要に

2009年09月08日 11:00

 出産育児一時金が10月から出産費用を事前に用意しなくても出産できる実効性の高い制度になる。

 これは、出産時の費用を出産育児一時金で直接充当できるよう、原則として各医療保険者から直接、病院などに出産育児一時金が支払われる仕組みに改められるため。

 現行では、出産にかかった費用を出産した人が出産時に病院など医療機関に支払い、その後に、申請をして各医療保険者から出産育児一時金を受け取ることになっている。このため、後日に出産育児一時金が受け取れるとしても、一端は出産費用を用意しなければならない。

 このことが、若い夫婦には負担になっていた。この問題を解消して、より妊婦が安心して出産できるよう、経済的な面で実効のあがる制度に改めることにした。

 また、10月から出産育児一時金の額も現行より4万円増額される(2011年3月末まで)。産科医療補償制度に加盟している医療機関での出産の場合には現行の38万円が42万円になる。産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産の場合でも現行の35万円から39万円に増額される。

 厚生労働省によると、出産費用は全国平均で42万3000円になっており、沖縄などでは39万円、関東エリアでは45万円前後になっている。医療機関によって、あるいは出産時の状態によって費用に差が生じるため、35万円から50万円程度の幅が考えられるが、例えば35万円で費用が納まった場合には、医療保険者に申請すれば、差額の7万円を受け取ることができる。また、50万円を要した場合には差額(8万円)を出産者が医療機関に支払うことになる。

 来週発足する鳩山新政権の下で、民主党は「来年度から、この出産一時金を最大55万円に引き上げる準備を進めている」としており、少子化対策として、安心して出産できる環境づくりの第一歩になりそう。
(編集担当:福角忠夫)