【日経平均】年初来高値の15942円から14483円まで暴落

2013年05月23日 20:12

 NYダウは80ドル安。注目のバーナンキFRB議長の議会証言はまず量的緩和を当面維持する必要性を強調し、早期終了には慎重な姿勢を示したが、質疑応答で雇用情勢の回復次第では年内の資産購入ペースの縮小がありうるとほのめかした。いったん大幅高になった株価は「早期縮小懸念」で下落してしまい、物言えば唇寒しバーナンキ。午後発表されたFOMC議事要旨で「早ければ6月にも資産購入を減額すべき」という意見が出ていたとわかり株価はさらに下落。為替市場はドル高になり、23日朝方の為替レートはドル円は103円台前半、ユーロ円は132円台半ばと円安が進行した。

 日経平均は112.72円高の15739.98円でスタート。その直後、円安の追い風を受け20分あまりで驚きの15800円、15900円一気抜け急騰。だがあと58円で16000円に届かず、すぐに15800円台に下落。10時45分、前月の50.4から49.6に下落し7ヵ月ぶりに50を割るという内容の中国のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表され、午前11時台の日経平均は26分間で300円を超える急降下。100円安、15526円でようやく止まり、すかさず押し目買いが入って前引けはプラスになった。

 しかし後場は出直しどころか、ドル円が101円台になる円高も手伝い先物主導で下落、下落、また下落。午後2時台には日経平均先物にサーキットブレーカーが発動されて売買が一時停止したが、現物株にはそんな制度はない。結局15000円、14500円を次々と割り込み、終値は1143.28円安の14483.98円で安値引け。前日比下落率7.32%は歴代ワースト10位で、日中下落幅1459円という暴落ぶりを演じた。TOPIXは-87.69の1188.34。売買高は76億株、売買代金は5兆8376億円で、ともに過去最高を更新した。

 東証1部に値上がり銘柄はたった17しかなく、値動きなしも4。当然、全業種がマイナスで、下落率が小さい業種はパルプ・紙、空運、海運、医薬品、石油・石炭、鉄鋼などで、大きい業種はその他金融、不動産、証券、銀行、非鉄金属、電気・ガスなどだった。

 紙パルプの王子HD<3861>、北越紀州製紙<3865>は大引け直前までプラス圏で粘っていたが結局、日経平均採用225銘柄は全て下落。そのマイナス寄与度上位は「御三家」に京セラ<6971>が加わって、4銘柄で日経平均を279円引き下げた。もっとも、前場はファナック<6954>が上場来高値を更新するなど、御三家が16000円に迫る日経平均上昇の原動力になっていた。

 値上がり17銘柄の1位は三菱電機系電材商社の協栄産業<6973>、2位は名古屋・栄のデパート丸栄<8245>、3位はゲーセンに景品を卸すエスケイジャパン<7608>で、どれも400円以下の低位株。他にめぼしいところは人材派遣のフルキャストHD<4848>、昔、がん新薬で話題になった小野薬品<4528>、パンダ印のサカイ引越センター<9039>、空調の大気社<1979>、半導体製造装置のTOWA<6315>、メガネの三城HD<7455>、食品トレーのエフピコ<7947>、養命酒製造<2540>などで、名古屋以西の企業が目立った。

 前日の記者会見で黒田日銀総裁が長期金利について「上昇抑制に尽力する」と安定化に取り組む姿勢を明らかにしたが、東証の債券先物市場は午前8時45分の開始直後いきなり1円安でサーキットブレーカー発動。再開後も一段安で、長期金利は昨年4月以来の1%台に。それが不動産、ノンバンク、地方銀行あたりを直撃し、値下がり率ランキング10位以内に不動産のサンフロンティア不動産<8934>、ケネディクス<4321>、トーセイ<8923>、テーオーシー<8841>、ノンバンクのアクリーティブ<8423>、地銀のフィデアHD<8713>、八千代銀行<8409>、大光銀行<8537>などが入った。

 全面安の中でも売買代金ランキング上位には、1位に東京電力<9501>、3位に野村HD<8604>、5~7位にメガバンク3行、8位にファーストリテイリング<9983>、10位にソニー<6758>がランクインしていた。

 この日、材料が豊富で売買が活発だったのが自動車。トヨタ<7203>は4~9月の世界生産台数を15万台上方修正して年間では1000万台乗せと報じられ売買代金2位。三菱自動車<7211>は10株を1株に併合して単元株を100株とし、将来は減資で9000億円以上の累積損失を解消した上で復配すると報じられ売買高1位、売買代金4位。マツダ<7261>は売買高4位、売買代金9位。売買代金16位の富士重工<7270>は、日経新聞朝刊に「今年度のアメリカでの販売台数はSUVが好調で過去最高の40万台になる可能性がある」という吉永泰之社長のインタビュー記事が載り、前場は79円高まで買われ年初来高値を更新したが、後場の暴落に押し流されて183円安になったのが惜しまれる。(編集担当:寺尾淳)