東京電力の「2013年度事業運営方針」、何がどう変わったのか

2013年04月02日 20:44

 新年度開始と前後して、続々と企業から発表される事業計画。厳しい経営環境の中でも昨年末以来続く好感触な景気動向に期待を寄せ、今後の成長を謳う企業が多い中、東京電力<9501>も「2013年度事業運営方針」を策定、発表した。

 同運営方針にて重点施策として挙げられているのは4つ。「福島の復興」を原点とする取り組み、原子力安全対策の取り組み、サバイバルのためのコスト削減とコスト管理の徹底、社内カンパニー制の導入による経営改革、である。

 コスト削減に関しては、燃料費・修繕費・減価償却費等、全ての費用について、抜本的なコスト削減を検討・実施し、10年平均3365億円という総合特別事業計画の削減目標額に対し、さらに年1000億円規模の追加コスト削減を目指すという。具体的には、建設中の火力発電設備の建設工程を短縮し、燃料費の安価な石炭火力および高効率なLNG火力の試運転開始時期を前倒。2013年度に機器の生産体制を構築し、2014年度上期に30万台、2014年度下期で160万台、2018年度までに1400万台以上のスマートメーターを導入することで、収益拡大を図る。

 一方、「福島の復興」に関しては、今年1月に設立した福島復興本社を中心として、賠償、除染、復興推進、広報など福島復興に関わる業務の連携を強化。2014年度入社に向けた福島県内の学校からの採用活動を再開するなど、福島県浜通り地方を中心とした地域の経済復興や雇用回復・創出につながる取組みを推進するほか、2013年内に、除染関連業務に携わる要員を、福島復興本社設立前の3倍にあたる300名規模に増員、さらに280人/日を福島における活動に動員する体制を整備するという。

 これらの重点施策に関しては、その適否はともかく、比較的具体性をもった内容となっているが、「原子力安全対策の取り組み」に関しては具体性を欠いている。「事業計画」ではなく「運営方針」である点を考えれば当然かもしれないが、「福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に沿った確実な廃止措置作業を実施する、などと言うことは特筆すべきことではないであろう。コスト削減に加え、持ち株会社化を検討するといった変革ともとれる文言も並んではいるが、基本的には「今まで通り」ということに終始した事業方針と言えるのではないだろうか。(編集担当:井畑学)