富士フイルム <4901> は、フラットパネルディスプレイ材料の主要生産拠点の一つである富士フイルムオプトマテリアルズ(株)内に建設を進めてきた、液晶ディスプレイの視野角を拡大する「WV(ワイドビュー)フィルム」第9工場を、2009年7月上旬から本格稼動させる。
液晶ディスプレイ市場は、昨秋からの世界的な経済危機の影響を大きく受け、製品・パネル・材料のすべての段階で、需要が停滞。しかし今春以降は、先進国向けの液晶テレビの需要が回復してきたことに加え、新興国での液晶テレビ需要が拡大し、同社のフラットパネルディスプレイ材料の需要は急速に回復しつつあるという。
WVフィルム」とは、低コストで視野角を大幅に拡大できる特長を持ち、液晶ディスプレイの視野角拡大フィルムとしてデファクトスタンダードの地位を確立している製品。特に中国では、家電製品を購入する農村部の消費者に対し政府が補助金を出すという政策により、20インチ台の中型テレビ需要が増加しており、同サイズのテレビに搭載されている「WVフィルム」の需要が急増しているという。
このような伸長する新興国の液晶テレビ需要に対応するため同社は、「WVフィルム」の新工場を稼動。テレビのハイコントラスト化や高輝度化に対応するために最新鋭設備を導入。「WVフィルム」の光学性能のさらなる向上を目指すとともに生産能力を増強し、安定供給に努めていく方針だ。
また、同社のフラットパネルディスプレイ材料事業は、この他にも、液晶ディスプレイ用偏光板材料に不可欠な「フジタック」(TAC(セルローストリアセテート)を素材とし、液晶用偏光板の保護膜として使用)、パネル表面の反射防止効果の高い「CVフィルム」(液晶パネル表面の反射防止フィルム)、カラーフィルター用材料「トランサー」(液晶向けカラーフィルター作製用フィルム)、「カラーモザイク」(液晶向けカラーフィルター用カラーレジスト)など、独自の技術を生かした特長のある製品で事業拡大を推進している。
同社では、今後も新技術の研究開発を積極的に進めるとともに、フラットパネルディスプレイ材料のリーディングカンパニーとして産業の発展に寄与していきたいとしている。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:宮園奈美)