プロポリス等のミツバチ産品を製造・販売する株式会社山田養蜂場は、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の亀井千晃教授と共同で研究を行い、ブラジル産プロポリスは、長期摂取することにより、マウスのアレルギー性鼻炎の症状(くしゃみ,かゆみ)を軽減することを明らかにした。その成果は昨年、日本薬理学会近畿部会にて発表された。
近年、スギやヒノキ等の植物の花粉、そばや卵等の食品、金属およびラテックス等に対して何らかのアレルギーをもつ人は、増加の一途を辿っている。特に、スギやヒノキ等に対する花粉症は、国民病とまで言われ、東京都内の推定有病率は28%にも達している(東京都福祉保健局、花粉症患者実態調査報告書、平成19 年)。しかしその治療法は、一時的に症状を押さえる対症療法がほとんどで、根本的な治療法は未だ確立されていない。
これまで、山田養蜂場と岡山大学大学院亀井教授は、長年にわたる共同研究で、健康食品であるブラジル産プロポリスについて、アトピー性皮膚炎によるかゆみ軽減作用や肝保護作用等を明らかにしてきた。今回は、プロポリスが即時型アレルギーモデルであるマウスのアレルギー性鼻炎症状を軽減する作用を示すか否かについて、また、その作用メカニズムについて検討した。その結果、プロポリスは2週間以上摂取させることにより、くしゃみ反応および鼻掻き行動の回数を減少させ、アレルギー性鼻炎症状を軽減する作用が明らかになった。また、この作用メカニズムは、マスト細胞からのヒスタミン等の放出を抑えることによるものであることが示唆された。
同社では、今回の共同研究の成果がアレルギー症状に悩む多くの人々にとっての根本的治療法の確立に繋がることを期待している。