NYダウは106ドル安。ヨーロッパの株安とともに量的緩和政策縮小への警戒感で利益確定売りに押された。アメリカの長期金利上昇の影響も出てきた。30日朝方の為替レートはドル円が100円台後半、ユーロ円が130円台後半と円高が大きく進行した。
誰が仕掛けたか前日の大引け前の急落で5日移動平均線が25日移動平均線を下回る「ミニ・デッドクロス」を喫し、取引開始前の外資系証券経由売買注文状況観測は株数も金額も売り越しで、お天気と同じく投資家の心理も梅雨入り。期待できそうにない日経平均は253.56円安の14072.90円で始まった。3分後に14000円、6分後に13900円を割り込む。その後は前日比400円安前後の水準で推移する安値もみあい。今週は毎日、前場はボラティリティが大きい波乱続きだが、外部条件が悪ければ乱高下もせず、ただ低迷するのみ。
それでも下げ幅を圧縮し14000円台を一時回復するが、後場は再び13900円を割り込み、午後1時前に13800円、2時台に13700円、13600円と地滑り的に割り込み13555円まで下げる。日経平均の値動きは円安で上昇、円高で下落と完全に為替の動きをなぞっていた。終値は737.43円安の13589.03円で「振り向けば75日移動平均線」。3日ぶりの大幅反落で前週と同様に「暗黒の木曜日」となった。TOPIXは-44.45で1134.42。売買高は44億株、売買代金は3兆3708億円だった。
値下がり銘柄1640に対して値上がり銘柄は62しかなく、東証1部業種別騰落率は全業種マイナス。マイナス幅が小さい業種は鉱業、空運、精密機器、輸送用機器、非鉄金属、石油・石炭など。大きい業種は不動産、倉庫、その他金融、電気・ガス、水産・農林、鉄鋼などだった。
日経平均225種でプラスなのは、野村証券が投資判断を引き上げ27円高の横河電機<6841>と、5円高のDOWAHD<5714>の2銘柄のみ。ファーストリテイリング<9983>は4150円安で日経平均を166円も押し下げていた。ソフトバンク<9984>は230円安で27円、この日もLTEの通信障害を起こして325円安のKDDI<9433>は26円、630円安のファナック<6954>は25円、それぞれ日経平均の足を引っ張っていた。
東証1部主要銘柄ではJAL<9201>の10円高をはじめ、ユニデン<6815>、ツガミ<6101>、小野薬品<4528>、ニチアス<5393>、ケーズHD<8282>、日機装<6376>、ニプロ<8086>、タクマ<6013>、日本農薬<4997>、パラマウントベッドHD<7817>などがプラスで終えていた。
債券先物市場は乱高下というほどではなかったが、長期金利は0.9%台に上昇。大手金融機関が6月の住宅ローン金利を10年固定で年1.6%に引き上げるニュースも流れて不動産銘柄の下げはきつくなり、三井不動産<8801>、三菱地所<8802>、住友不動産<8830>は揃って3ケタ安になった。一方、住宅ローンを貸す側のメガバンク、地銀株は下落幅は限定されて底堅い。下げ相場に抵抗して健闘したのが自動車株で、日経平均が5%、TOPIXが3%を超える下落率だったこの日、トヨタ<7203>、マツダ<7261>、富士重工<7270>、日産<7201>の下落幅は3%以内にとどまった。ソニー<6758>、東芝<6502>、日立<6501>、キヤノン<7751>、アステラス製薬<4503>、川崎重工<7012>、NTTドコモ<9437>、三菱商事<8058>も下落率3%以内だった。
3Dプリンター関連の群栄化学工業<4229>は41円高で続伸し値上がり率3位。図研<6947>も3円高だったが、キーエンス<6861>、ローランドDG<6789>、JBCCHD<9889>は揃って反落し関連銘柄の間で明暗が分かれた。「JINS」ブランドでチェーン展開する「眼鏡のユニクロ」ことジェイアイエヌ<3046>がジャスダックから東証1部に上場したが、たびたびプラスに浮上してもめぐり合わせの悪さもあり30円安で終えた。
こんな日でも低位株トレードにいそしむ勢力はあり、値上がり率1位の神栄<3004>は一時ストップ高の32円高、2位の東京特殊電線<5807>は15円高で年初来高値を更新していた。
この日の主役はこれも株価100円台の低位株で、14円高で値上がり率5位に入った丸栄<8245>。冬にランキング上位に顔を出していた小倉の井筒屋<8260>と同じく経営再建中のデパートだが、前週から連日派手に買われてこの日も売買高3位、売買代金12位の異常人気。井筒屋の仕掛人はブラックロックだったが、ここに特定資金を入れているのは誰なのか。丸栄はアイドルグループ「SKE48」と関係が深くメンバーがCMに出演したりコラボ商品を企画・販売しているので、その方面の特殊な筋かもしれない。株価の低迷が長引けば、アベノミクス相場の全盛時はほら穴に隠れていたような仕手系などの「特殊筋」がモゾモゾ動き出しそうだ。(編集担当:寺尾淳)