スマートフォンやタブレットが急速に普及するにつれて、より快適で安定した高速インターネット環境が求められている。NTTドコモ<9437>、KDDI<9433>、ソフトバンク<9984>の携帯三大キャリアもこぞって、通信速度の速いLTEのサービスを開始しているが、速度はもとより「つながる」ということも重要なファクターの一つだ。
LTEとよく比較されるサービスにWiMAXがある。
日本ではKDDIグループの電気通信事業者であるUQコミュニケーションズ株式会社が代表的な事業者として挙げられるが、実際、ユーザーとしてはLTEとWiMAXなら、どちらを利用する方がメリットが大きいのだろう。
例えば、NTTドコモが提供するLTE通信サービス「Xi(クロッシィ)」と比較した場合、Xiの最大通信速度(理論値)は下り75Mbps、上り25Mbpsを誇るのに対し、WiMAXは下り40Mbps、上り15.6Mbps。また、Xiの通信可能エリアは全国政令指定都市の人口100パーセントをカバーするのに対し、WiMAXは東京23区、政令指定都市、都道府県庁所在地など人口99%をカバーするに留まり、少し心もとない。この2点だけをみると、LTEに軍配が上がる。
ただし、Xiには現在、月間の通信量が7GBに制限されており、超過した場合は月末まで128kbpsに減速のうえ、超過後2GB毎に2625円加算されてしまうのが大きな難点だ。この点、WiMAXは通信料制限を設けていないので、自宅や外出先、宿泊先などで通信量を気にせずに高速通信を利用したいのなら断然おすすめとなる。
また、契約料や解約料、契約年数などの面でもWiMAXの方がリーズナブルとなっており、コスト面で考えるのならWiMAXが有利だ。
また、WiMAXの利用者が増えるにつれて通信エリアの拡大も積極的に進められており、5月22日には、UQコミュニケーションズ株式会社および東京地下鉄株式会社は、東京メトロ全線のWiMAXエリア整備を完了したことを発表し、同28日正午よりサービスを開始している。
これにより、東京メトロの駅構内はもちろん、トンネル内でも、WiMAX対応のパソコン、タブレット、スマートフォンを利用することで、通勤や通学で移動する際にもストレスなく快適な高速インターネット通信が可能となった。また、事故や災害などの非常時における情報収集の手段としても活用できることは、大きな安心につながる。
UQコミュニケーションズではさらに、全国の地下鉄内でのエリア整備を進めており、すでに仙台地下鉄、都営地下鉄、横浜市営地下鉄、みなとみらい線、福岡市地下鉄ではエリア整備を完了した。現在、一部区間でサービスを提供している大阪市営地下鉄、札幌市営地下鉄においても、2013年内に全線で整備を完了する予定だ。また、名古屋市営地下鉄と京都市営地下鉄についても整備を進めることを明らかにしている。
WiMAXを選ぶかLTEかの意見は分かれるところではある。次世代規格としてWiMAX Forumが昨年10月に発表したWiMAX Release 2.1がTD-LTEとの互換性を保持することが明らかにされていることで、携帯機器用の高速無線通信サービスは将来的にLTE技術へ収束するとみられているが、今のところは一長一短と考えられる。
現況では、通信速度を重視するならLTE、コストを気にせず自由にインターネットを楽しみたいならWiMAXというところだろう。いずれにせよ、流行に流されるのではなく、自分の利用環境を考えて購入するようにしたいものだ。(編集担当:藤原伊織)