天秤の錘・民意につりあう議員数算出の妥当性

2013年06月22日 20:09

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一票の格差是正を図る衆議院選挙小選挙区「0増5減」のための区割り法案は衆議院での再可決で成立する見通しになっている。

 一票の格差是正を図る衆議院選挙小選挙区「0増5減」のための区割り法案は衆議院での再可決で成立する見通しになっている。違憲状態を解消する点では妥当な措置なのだろう。ただ、公けの政党間の約束とは何なのか。議員定数の削減や選挙制度の抜本改革は自公民3党の約束事であっただけでなく、衆議院解散をかけての、半ば国民との約束でもあったはずなのだが。

 衆議院解散前、国会で行われた党首討論。当時の安倍晋三自民総裁と野田佳彦総理(民主代表)とのやり取りの中身は国民との約束でもあると受けとめてきた。多くの国民はそうだったと思う。

 結局、今国会では違憲状態解消のための最低限の修正を図るのみで終わるのだろう。議員定数の削減や選挙制度の抜本改革はどうなるのか。少なくとも、与党や与党経験のある3党が約束した「今国会中での議員定数削減」などは国民の側にすれば「反故にされた」格好だ。

 何とも、国政を代表する3党においての約束ごとでさえも、こうした状態では参議院選挙を目前に次々出される政党の選挙公約は「絵に描いた餅に終わるのではないか」と感じさせられる。国民は公約実現による実効性と果実を求めている。そのことを政党は片時も忘れずに公約実現に歩んで頂きたいと願っている。

 もともと衆議院議員の定数削減は「社会保障制度維持のための財源確保に消費税を増税することになるため、議員自らも身を切る覚悟を具体化するひとつ」として提起された経緯もあるが、どのように、どの程度に、議員定数を定めることが民意反映に相応しいのか。

 また、選挙制度そのもののあり方についても、中選挙区制に戻すことも含め、国民の代表をどのようなルールの下で選ぶのがより良いのか。民主主義の根幹に係わる選挙制度改革だけに、一過性の消費税問題とは切り離して、冷静に議論を尽くしていくことが求められる。

 議員定数を削減せずに、議員歳費全体を2割削減することも、歳費削減への取り組みになる。議員歳費全体の削減のためだけに議員定数を削減するというのは短絡的としかいいようがないし、議員定数削減と選挙制度改革については、ことの本質・目的を国民の前に鮮明に示し、わかりやすい議論展開をしていただきたい。

 民主党は議員定数削減が今国会でできないのなら、次期国会までに各党集まり協議し、結論を得、次期国会で決めるべきとの考えのよう。ただ、選挙制度の抜本改革と同時に議員定数削減を図るというなら、結論をそこまで急ぐ必要はないのではないか。

 結論を次期国会までに導き出せればそれにこしたことはないが、小政党にとって選挙制度改革は国会から弾き出されることにもなりかねない危険もはらんでおり、弾き出されるようなことになれば、小数の民意の反映はどうなるのか。闇雲に時間をかけるのも問題だが、時間をかけて、より良いものを導き出してほしい。

 一方、議員定数の削減は民意を反映させるということでは変わりないが、制度改革とは別の次元で、妥当な議員数を探っていくことは可能なのではないか。

 自民党は衆議院の議員定数は小選挙区での0増5減とは別に、比例で30削減することを参議院選挙の公約にかかげた。民主党は衆議院は80程度、参議院は40程度削減するとやはり参議院選挙公約に盛り込んだ。公明党は地域主権型道州制の導入により行政の効率化が図られ、国家公務員や国会議員は大幅削減されるとしている。

 国会議員の定数削減が政治改革や財政にどの程度の効果を生むことになるのか、天秤の錘(おもり・民意)につりあう定数の算出とその算出方法の妥当性の説明を各政党は国民に示して頂きたいと思う。(編集担当:森高龍二)