販売トップを疾駆するアクア、購入で気をつけたい問題

2013年06月23日 19:06

AQUA1

2011年の東京モーターショーの「アクア」。2012年国内販売ナンバーワンを記録した

 昨年度(2012.04〜2013.03)の新車販売台数(22万2660台/自販連調べ)トップ、今年に入っても月販で1位をキープしているトヨタのいちばん小さなハイブリッド車アクア。

 そのアクアがデビューした時のリリースとカタログに掲載された燃費は10・15モードで40km/リッターだった。しかし、この好燃費は、現在カタログ掲載していない。この燃費性能を達成していたのは、車両価格169万円のアクア最廉価グレード “L”だけだった。

 このアクア“L”の車両重量は1050kgで、他のG/Sグレードに比べて30kg軽い。ちなみに、2011年のデビュー当時のカタログでは、30kg重たいG/Sグレードの10・15モード燃費は37km/リッターで8%ほどダウンしていた。現在はすべてのグレードで「JC08モード燃費35.4km/リッター」とだけ掲載している。が、詳細にカタログを見ると「車両重量が1090kg以上の場合、33km/リッターとなる」と記載が……。注釈を子細に見ると、ほとんどのオプションをひとつでも選択すると10kg以上の増加となりカタログ燃費35.4km/リッターは達成できなくなる。

 ある意味で“燃費スペシャルグレード”アクアLは、非常に簡略(過ぎる)な装備も特徴だ。加えて、G/Sで装着できる16インチ仕様の“ツーリングパッケージ”などの豊富なパッケージオプションは一切選べない。

 機能面では、リアワイパーはオプションで、フロントの間欠ワイパーは時間調整が不可能。また、ステアリングにS/Gグレードで標準となっているテレスコピック機構が省略される。また、今どきの自動車としては異例なことに、運転席シート上下アジャスタさえも省かれ、運転席が上下できない。つまり、小柄な女性ドライバーなどは正しいドライビングポジションが取れない可能性がある。

 快適装備の差も大きい。リアドアのパワーウインドウは省略されていて、今どき珍しい手動式。荷室の拡大のためのG/Sに標準のリアシート分割可倒機構も省略され、加えてラゲッジルームには照明が無い。「これ、無くても構わない」と思われるかもしれないが、夜に荷物を積み降ろしする際にそうとうに不便。つまり、アクアLは発売当時に40km/リッターという最高燃費を宣伝するために作られたグレードだったといえそうだ。アクアで真っ当なグレードは“S”(180万円)以上ということになる。

 現実的な問題もある。アクアは走行用のニッケル水素バッテリーが5年後に寿命を迎え、交換が必要になるかもしれない。現行アクアの走行用ニッケル水素バッテリーは、5年未満または走行5万キロまで保証されているが、以後は有償修理。有償修理には修理部品代としてバッテリー価格12万9150円と交換工賃が別途必要になる。5年以上同じクルマに乗り続ける方は、頭に入れておきたい。(編集担当:吉田恒)