夏のドリンクに異変? 冷たくない売場が急増中

2013年07月07日 16:39

 夏本番を控えて、ドリンクの商戦も賑やかになってきたが、今年はいつもと少し様子が違っている。

 夏の暑い日はキンキンに冷えたドリンクを飲みたいと思うのが常識のように言われているが、実はそうとばかりも言えないらしい。大手飲料メーカーが行ったアンケート調査によると、夏でも常温のドリンクを希望する消費者が4割もいるという結果がでたそうだ。

 その理由は様々で、単純に「冷たい飲み物が苦手」とする意見から、冷たい飲み物をカバンに入れて持ち運ぶと水滴で濡れてしまうという意見、またダイエットや健康面を考慮して冷たい飲み物は控えているという声も多い。また、東日本大震災以降の節電意識の高まりもあり、必要以上の冷たさは求めていないようだ。

 このような消費者の動向を受け、大手のコンビニエンスストアのローソン<2651>でも、東京都品川区に5月7日にオープンしたばかりのローソンTOC大崎店など一部店舗で、専用のラックを用意するなど、お茶や水のペットボトルを常温で販売するコーナーを設けている。

 また、山崎製パン株式会社<2212>の子会社であり、7月1日に同社に吸収合併される予定のデイリーヤマザキも、全国に展開する約1600店舗のうち約600店舗に常温の水とお茶を並べるコーナーを7月1日より導入するとしている。 すでに、東京や大阪、宮城、福岡でテスト販売を行っており、その結果は予想を大きく上回るものだった。とくに東京都内の4店舗では、飲料の販売本数が4割増加し、テスト対象外の店舗の季節変動を大きく上回ったという。

 同様にドリンクの自動販売機についても、節電対策の意味もこめて「常温でいいのでは」という声もあがり始めている。

 ドリンクの自動販売機でいち早く節電対策を取り入れているのはダイドードリンコ<2590>だ。同社では、2002年にピークカット機能や省エネ自動運転機能をかね添えたエコロジー機を導入して以来、07年からはノンフロン・ヒートポンプ機を導入するなど、環境に配慮した自販機展開を積極的に行っている。

 自動販売機において常温は難しいかもしれないが、コンビニでの常温販売が成果を挙げて今後、全国的ながりを見せれば、自販機も「ひんやり」「ぬるめ」の設定が喜ばれる動きが起こるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)