フカヒレ騒動にみる「無印良品への愛憎」とブランドの責任

2013年07月15日 17:49

 “「ごはんにかける ふかひれスープ」の販売中止を求めるご意見について”。無印良品を展開する良品計画<7453>は6月7日、このように題した文章を公式サイトに掲載した。

 それによると今年の3月頃から、一部の動物保護団体が同製品の販売中止を求めるキャンペーンを展開していた。同団体の主張は「フカヒレスープの需要により殺害されるサメの数は何と年間約1億匹」「同社の利用するヨシキリザメは国際自然保護連合(IUCN)により準絶滅危惧種に指定」。販売中止を求め、これまでに全国で6万名を超える署名が集まった。

 良品計画は公式サイト上で、明確な根拠を示して反論。同社の使用するサメは7割が宮城県気仙沼港のほか、日本国内産であり、残り3割弱がスペイン産だという。またふかひれの入手方法は、一部の地域で行われているような残虐な方法ではないことも明示。さらにヨシキリザメも「日本の法令によっても何ら漁獲規制のない」ことが確認済みだという。

 実は同社は、3年前にも少し違った形ではあるが消費者運動の影響を受けたことがある。2010年4月に発表したイスラエルへの出店計画が、多くの消費者からの反対により白紙撤回されたのだ。
 
 「STOP無印情報センター」によると、2010年4月に同社がイスラエルへの出店計画を発表して以来、植民地経済によって支えられたパレスチナへの出店は中止されるべきであるとの運動が広がった。店頭での抗議活動などにも波及し、同年12月、ついに良品計画は計画を撤回することになった。

 「地球と生きる5原則」をうたうエコフレンドリー企業の良品計画だからこそ、動物保護団体や市民運動家たちの期待も大きかったのかもしれない。いわば無印ブランドへの愛憎が、このような運動へ結びついた可能性もある。

 とはいえ当時、同社が公式サイトで発表した出店中止に関するコメントは「経済的な理由」の一言。消費者の意見については「決定・判断に対する直接的なつながりはないが、大変勉強になった」との言及にとどまった。「ふかひれスープ」とイスラエル。「無印良品」の社会的責任とは一体、何を意味するのだろうか。