気象庁は6日、関東甲信地方で平年より15日早く、梅雨明けしたとみられると発表した。また、8日にも九州、四国、中国、近畿、東海においても、平年よりも10日から2週間近くも早く、梅雨明けしたとみられると、各気象台が発表している。
梅雨時期から夏場にかけてのこの季節は、水虫などのトラブルが増加してくる時期だ。水虫は湿気の多い梅雨がピークといわれているが、むしろ問題になるのは、素足をさらす機会が多くなる夏だ。とくに女性はミュールやサンダルを履く際に気になるようで、ロート製薬<4527>の調べによると、3人に1人の割合で水虫かなと悩んだ事があるようだ。
水虫には、どうしても不潔なイメージが付きまとうが、清潔にしているからといって油断できるものではない。水虫の正体は、カビ。ハクセン菌というカビが、足の裏や指の間、手のひら等に寄生して起こる病気のことだ。感染すれば、足の指の間や足の裏に水ぶくれや皮むけ、ただれやかゆみなどが生じる。ハクセン菌は皮膚の角質の中にあるタンパク質、ケラチンを栄養源としているため、角質に潜り込んで生息する。とくに、足裏の角質は分厚いため、ハクセン菌にとっては絶好の住処になるというわけだ。
ちなみに、西洋の靴文化が広まるにつれ、日本でも水虫が増えたといわれており、それまでの草履や下駄の、通気性の良い日本の足元の文化では無縁だったとも言われている。
しかしながら、現代社会では、日本の人口の15%から19%が水虫に罹患しているといわれており、決して珍しい病気ではなくなった。男女比でみてみると、ほぼ半々で、男性の方が若干多いとみられるものの、医療機関への受診は夏場の足の露出が多い女性の方が多いという。
各製薬メーカーも女性向けの水虫対策商品を展開している。
例えば、武田薬品<4502>の水虫治療薬スコルバEXなどは、女性が手に取りやすいようにパッケージもピンクのデザイン性の高いものとなっており、一見しただけでは水虫の薬とは分かりにくい。久光製薬<4530>の水虫治療薬ブテナロックも、水虫の悩みが女性に増えていることをうたい、クリームタイプ、液体タイプ、スプレータイプなど、好みに合わせた5種類のラインナップを展開している。
とくに、女性向け水虫薬の草分け的ブランド「エクシブ」を展開するロート製薬は、配慮が細かい。容器は部屋に置いても恥ずかしくないように水虫薬の表示を行わずシンプルなデザインとなっているが、角度つきノズルや先の細いチューブを採用し、ギミック的には工夫が凝らされている。薬剤も、べたつかないサラサラの使用感を追求し、さらには09年には水虫薬で初めて「せっけんの香り」をつけるなど、女性が気持ちよく使用できることにこだわった。
ロート製薬によると、水虫薬市場全体では販売金額ベースで2010年度174億円、対前年比92%と伸び悩んでいるが、「エクシブ」の売上は堅調に推移しているという。
一昔前は、水虫は男性の悩みのようなイメージが強かったが、どうやら最近では女性の方が水虫の悩みは深いようだ。女性の水虫の増加は、女性の社会進出とも関係が深いといわれており、潜在的な需要も含め、これから益々、女性向け水虫薬の出番は増えてくるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)