原発地下水の海洋汚染 事故の深刻さ浮き彫り

2013年07月24日 09:44

 菅義偉官房長官は23日、東京電力福島第一原発の井戸の地下水から高濃度放射性物質が検出され、敷地の汚染地下水が海に流出していることについて「地下水が海水に漏洩している可能性があるとの報告を受けており、政府として大変重く受け止めている」と憂慮した。

 そのうえで「流出防水策を迅速・確実にとるようお願いしたい」とし、データ公表についても「データは東電が早急に公表すべきであると考えているので、経済産業省から適切に対処するよう指導させたい」と述べた。

 東電はさきに原子力規制委員会が「地下水の海洋への拡散が疑われる」と指摘したにもかかわらず、「海水の数値に有意な変動がみられない」と否定していた。22日になって流出を認めるデータを発表した。

 東電は発電所護岸付近に設置の地下水観測孔の水を採取した結果、濃度の高いトリチウムとストロンチウムが検出されたとし、海のモニタリング強化と漏洩防止策への取り組みを行っているとした。

 観測孔の海側は薬液を注入中で、25日ころに完了する予定、山側については8月10日ころに完了の予定(いずれも東電説明)。また10月までに観測孔の山側について護岸背後エリアの薬液注入を延長し囲い込みを行い、放射性物質の拡散を抑制する。その後、雨水などの侵入を防ぐため砕石層とアスファルト舗装を行う。海側遮水壁については4月から鋼管矢板の打設をはじめており、来年9月完了の予定としている。東電は「汚染は港湾内の取水路部分にとどまる」としているが、海洋が汚染されていることにかわりない。今回の状況でも原発事故発生の場合の深刻さを示しており、原発に依存しない社会、脱原発社会の早期実現が求められている。(編集担当:森高龍二)