16日、原子力規制委員会は、新規制基準に基づき原発再稼働の安全審査の申請を行った電力会社4社の5原発10基に対して、初めての審査会合を行った。
4社ともに、地震や津波に対する安全性などについて説明した一方、原子力規制庁担当者からの厳しい質問や指摘に対して、十分に答えられない場面などもみられた。
新規制基準は今月の8日に施行され、関西電力<9503>の大飯3号機と4号機(福井県)と、高浜3号機と4号機(福井県)、九州電力<9508>の川内1号機と2号機(鹿児島県)、北海道電力<9509>の泊1号機、2号機、3号機、四国電力<9507>の伊方3号機(愛媛県)などの安全審査の申請がその日に出された。12日には九州電力<9508>の玄海3号機、4号機(佐賀県)の申請もあったが、16日の審査会合では8日に申請された10基が対象とされた。
新規制基準では、活断層上に「原子炉建屋」といった重要な施設の建設は認めておらず、発電所がある敷地の地下をより立体的に把握し、精度の高い基準地震動対策が要求されている。東京電力<9501>の福島第1原発事故の原因である津波に対しては、かなり厳しい基準を設けていて、敷地の高さがそれを下回る場合などには、防潮堤などの設置が求められている。また、電源を失うことにより重大な事故が発生することを防止するために、複数の電源を用意することも求められている。
原子力規制委員会と原子力規制庁の出席者たちは、電力会社4社から申請内容の説明を受けた後、質問を行ったが、出席した九州電力、北海道電力、四国電力の幹部らは、「それぞれの原発にはどのような特性があり、どんな対策が講じられているのか?」という質問に対して、それぞれの原子炉の補足的な説明をするに留まり、原子力規制庁側が求める十分な知識を備えられていない現状が浮き彫りとなった。このような質疑応答に対して、原子力規制委員会の出席者の中からは、「答えになっていない」という厳しい指摘もなされた。
次回の審査会合は、今月の23日に予定されている。(編集担当:滝川幸平)