今年もキッズデザイン賞の季節がやってきた。キッズデザイン賞は、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つデザインを顕彰する制度。「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」の3つのデザインミッションから構成され、受賞した作品には「キッズデザインマーク」を使用することができる。
第7回となる今回は、全8部門4分野で過去最多の383件の応募があり、内211点が受賞した。受賞作は7月中に最終審査が行われ、新設された「内閣総理大臣賞」最優秀賞1点をはじめ、「経済産業大臣賞」優秀賞4点、「少子化対策担当大臣賞」2点、「消費者担当大臣賞」1点などが、7月29日に発表されて表彰式が行われる予定だ。
キッズデザイン賞は、乳幼児用品や玩具などの子ども向けの製品やサービスだけでなく、大人向けでありながら子どもの視点を兼ね備えた、良質な商品や施設、プログラム、調査研究活動なども対象となり、各応募企業もそれぞれのコンセプトに見合うものを応募する。
子ども視点の安全安心デザイン子ども部門からは、株式会社アトリエ オズミィと東レ建設株式会社が手掛けた「東光保育園新築工事」や、セキスイハイムと積水化学工業株式会社<4204>の、子どものための「キレイな空気と暮らす健康補助住宅 ドクターズ・エアーモデル」など、産み育て支援デザイン部門では、住友林業株式会社<1911>の「ハグくみの庭」などが目を引いた。
なかでも、子どもの未来デザイン 感性・創造性部門を受賞した、アキュラホームとジャーブネットが行う「らくがキッズコミュニケーション ~アートワークショップ」は面白い。「らくがキッズコミュニケーション」は、住宅展示場でリニューアル予定のモデルハウスを解放し、子どもたちにクレヨンで本格的な「ラクガキ」を楽しんでもらうというものだ。
ラクガキがきっかけとなるコミュニケーションの場を提供し、普段家や公共施設などでは許されないラクガキを思いっきり楽しみながら、専門家(アーティスト)の指導の下、他者と共同で取り組めるよう誘導し、さらに正解のない自由な表現を通して、多様な考えがある事を感じてもらい、子ども達の協調性と独創性を養うような工夫もしている。
他にも、NTTドコモ<9437>が、子ども視点の安心・安全デザイン部門で受賞した「スマートフォン for ジュニアSH-05E」なども、時代を反映するものとして興味深い。
子どもに優しい、使いやすくて便利といったものだけでなく、子どもの未来につながるものや可能性を伸ばすものが増え、顕彰制度としても充実、成熟をみせている第7回キッズデザイン賞。内閣総理大臣賞などの新設で、もっと認知度が高まり、さらなる発展を期待したい。(編集担当:藤原伊織)