日本の消費者は「欧州車の基本性能の高さ」を理解しはじめた?

2013年08月11日 11:36

VW Golf

5月20日に東京・代々木で新型の7thゴルフは発表された。発表会では初代ゴルフをデザインした、あのジウジアーロ氏が登場するなどデザインにスポットが当てられた。が、新型はハイクオリティなモデルが249万円?299万円。しかも、非常に高度な安全装置を標準装備している。

 2013年上半期の日本国内で販売(登録)された軽自動車を除く新車の乗用車は145.0万台あまり(自販連調べ)だ。これは昨年の上半期の登録台数166.5万台あまりを大きく下回った。前年比にして87.1%である。「昨年2012年は、通期で301.4万台(前年比126.3%)と大きく販売台数を伸ばした」結果の翌2013年だからという見方も出来なくはない。が、その前年2011年は、あの東日本大震災があり、その影響で前年の81.5%まで新車販売が落ち込んだという特殊要素があった。2012年の登録台数は2010年レベルに戻っただけで、事実2010年は292.7万台の新型車が登録されていた。

 今年、2013年上半期の話題に戻そう。上半期登録の約145万台のうち約17.0万台強(JAIA調べ)の新車は海外ブランドの輸入車(日本メーカーの海外生産車の輸入は除く)で、国内での新車乗用車の販売が落ち込むなか、純粋な海外ブランドの輸入車だけは前年比で110%以上の高い伸びを見せている。

 理由は幾つか考えられる。それは、これまで日本車が得意としてきたハイブリッドシステムを含めた低燃費車の開発で、欧州車が日本車に追いついてきたこと。また、コストパフォーマンスが高いとされてきた日本車にも負けない、高いクオリティパフォーマンスとコストパフォーマンスを両立したモデルが続々登場したこと。そして何より、日本車にはない、高いブランド性を持ったクルマは多少高価でも「それだけの価値(高い安全性や環境性能、加えてクルマとしての基本性能の高さ)がある」と日本の消費者が理解しはじめたこと。輸入車販売の堅調な推移の理由は、こんなところにありそうなのだ。

 そのブランド性、クオリティ&コストパフォーマンスの高さで、輸入車販売を牽引しているのがアウディ、BMW、メルセデス・ベンツ、VW(フォルクスワーゲン)のドイツ四天王とも言えるブランドだ。

 なかでも、2012年まで13年連続で輸入車販売ナンバーワンを記録し、昨年輸入車としては破格の149万円というコンパクトモデル「UP!」を導入したVW。2013年上半期の同社の販売実績は3万2840台となり前年比113.6%を記録、輸入車販売全体の2割ほどを占める。さらに5月に日本導入を発表、6月25日から販売を開始し、TVコマーシャルにサザンオールスターズを起用した7th新型ゴルフが絶好調。7月の新型ゴルフの登録は2000台以上で、VWジャパン全車種の7月登録台数は、7月として過去最高の5015台を記録した。

 新型ゴルフは日本車にはない革新的な安全装備が充実、さらにハイブリッドなどのような高価なシステムを使わず、エンジンのダウンサイジングという手法で好燃費(JC08モード燃費21.0km/リッター)を実現。結果、ハイクオリティなモデルながら249万円?299万円というコストパフォーマンスの高さも実現している。安全性と好燃費、そしてコストパフォーマンスの高さは当たり前、これに非常に高いクオリティが加わった7thゴルフが好調なのだ。VWジャパンは今季も輸入車ナンバーワンの座を譲らないだろうと思われる。(編集担当:吉田恒)