共同推進せざるえないほどのEV充電インフラの窮地 

2013年08月04日 18:34

 昨年のハイブリッド車(HV)の世界販売台数は160万台を超えている。対して、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)は、HVの9パーセントにも満たないわずか13万台程度だという。日産<7201>は、HVも販売しているが、2010年12月にEV「リーフ」を発売しており「(次代のエコカーは)HVではなくEVを選択する」という経営姿勢を明確にしてきたし、三菱自動車<7211>も、09年7月にEV「アイ・ミーブ」をデビューさせている。現時点でHVを販売しておらず、やはり日産と同じく、EVを柱としていると考えて良いだろう。トヨタ<7203>は「プリウス」、ホンダ<7267>は「インサイト」とHVでしのぎを削ってきたが、昨年はトヨタが「プリウスPHV」、今年になって「アコード」がHVとは別にPHVの販売を開始している。この2社は、特にHVか否かという戦略でないようだ。

 トヨタ、日産、ホンダ、三菱自動車の自動車メーカー4社は、EVやPHVなどの電動車両の充電器の設置活動を共同で推進と利便性の高い充電ネットワークサービスの構築を共同で実現することに合意した。

 日本における充電器は、現在、急速充電器1,700基、普通充電器3,000基強と、まだ十分な状況ではなく、複数ある充電サービスの連携も不十分なため、ユーザーとって安心して使いやすい状況には至っていない。

 また政府は、次世代エネルギーを活用した電動車両の普及のためには充電インフラ整備が早急に必要であるとして、今年度の経済対策において1,005億円におよぶ充電器設置補助金を打ち出した。現在、各都道府県にて補助金活用ビジョンが策定され、公表されつつある。

 そんなことも後押しとなって、4社で共同プロジェクトを発足させて、充電インフラを充実させるとしている。具体的には普通充電器8,000基程度、急速充電器は、4,000基程度の設置を検討するとしている。

 電動車両は次世代エネルギー対策の重要な牽引役を担っており、政府は次世代自動車普及目標として、新車販売台数に占めるPHV・EVなどの電動車両の割合を、20年には15%~20%と掲げている。今回充電インフラの充実を図ることで、ユーザーの利便性の飛躍的な向上につなげ、自動車メーカーとしても電動車両の機能が最大限生かせる社会作りに貢献し、電動車両の普及を進めていくという。

 HVは着実に普及を続けているが、EVやPHVは非常に厳しい状況といっていいだろう。その原因のひとつが充電インフラであることは間違いない。だからこそ、政府も補助金を出すのだ。裏返せば、それだけEV市場が窮地に追い込まれているのだ。そこで今回の共同推進の話だ。筆者には、充電インフラの必要のないHVを中心に展開するトヨタとホンダが、先行投資として充電インフラが切実な日産と三菱自動車に対して助け舟を出したように思える。(編集担当:久保田雄城)