【主要企業決算】今回の「上方修正組」と「据え置き組」は、後で二極分化する可能性がある

2013年08月14日 20:34

 自動車大手6社(トヨタ<7203>、日産<7201>、ホンダ<7267>、マツダ<7261>、富士重工<7270>、三菱自動車<7211>)の2013年度4~6月期決算は円安の追い風を受け、売上高は三菱だけが減で、純利益はホンダと三菱が減だったが営業利益、経常利益は全6社が増益になり、トヨタの純利益が前年同期比でほぼ倍増するなど、おおむね好調な決算となった。富士重工は利益額が過去最高の好業績をあげ、マツダの損益は前年同期と比べてV字回復している。

 トヨタの売上高は前年同期比13.7%増、営業利益は87.9%増、税引前四半期純利益は74.4%増、四半期純利益は93.6%増。通期見通しの売上高は5000億円上方修正して24兆円、営業利益は1400億円上方修正して1兆9400億円、税引前当期純利益は1400億円上方修正して2兆300億円、当期純利益は1100億円上方修正して1兆4800億円とした。想定為替レートはドル円を90円から92円、ユーロ円を120円から122円に変更している。年間配当は90円、連結世界販売台数は910万台で変えていない。

 日産の売上高は前年同期比17.8%増、営業利益は23.0%増、経常利益は13.2%増、四半期純利益は14.0%増。通期見通しの売上高は10 兆3700億円、営業利益は6100億円、経常利益は6450億円、当期純利益は4200億円で据え置き。想定為替レートはドル円95円、ユーロ円122円で変更なし。年間配当30円、連結世界販売台数530万台も変えていない。

 ホンダの売上高は前年同期比16.3%増、営業利益は5.1%増、税引前四半期純利益は11.7%減、四半期純利益は7.0%減。通期見通しの売上高は12兆1000億円、営業利益は7800億円、税引前当期純利益は7800億円、当期純利益は5800億円で据え置き。想定為替レートはドル円を95円から96円に、ユーロ円を120円から126円に変更している。年間配当は80円、グループ四輪車世界販売台数は443万台で変えていない。

 マツダの売上高は前年同期比21.6%増、営業利益は20.2倍、経常利益は83億円(前期は88億円の赤字)、四半期純利益は54億円(前期は64億円の赤字)。通期見通しの売上高は2兆4800億円、営業利益は1200億円、経常利益は970億円、当期純利益は700億円で据え置き。想定為替レートのドル円90円、ユーロ円120円も変更なく、年間配当の無配見込み、グローバル販売台数133.5万台も変えていない。

 富士重工の売上高は前年同期比27.5%増、営業利益は301.8%増、経常利益は237.2%増、四半期純利益は196.4%増。通期見通しの売上高は300億円上方修正して2兆800億円、営業利益は180億円上方修正して1980億円、経常利益は180億円上方修正して1930億円、当期純利益は110億円上方修正して1210億円とした。想定為替レートはドル円を90円から92円、ユーロ円を120円から122円に変更している。年間配当20円、連結世界販売台数75.2万台は変えていない。

 三菱自動車の売上高は前年同期比2.4%減、営業利益は7.4%増、経常利益は56.9%増、四半期純利益は17.6%減。通期見通しの売上高は2兆2700億円、営業利益は1000億円、経常利益は900億円、当期純利益は500億円で据え置き。想定為替レートはドル円は95円から96円に改め、ユーロ円は125円でそのまま。年間配当無配、連結世界販売台数(卸売)136.3万台の見通しは変えていない。

 通期予想はトヨタ、富士重工の「上方修正組」とそれ以外の「据え置き組」に分かれ、下方修正したところはなかった。ドル円の想定為替レートが最も低いのはマツダの90円で一見、今後の上方修正が期待できそうに見えるが、92円でまだ余裕を残し販売が好調なトヨタ、富士重工が再度、上方修正する可能性のほうが大きいと思われる。なぜなら、どちらも「カムリ」「プリウス」「インプレッサ」など、好景気が続いている北米での販売が好調な車種を持っているからだ。

 問題は日産で、3年ぶりの増収増益でも通期見通しに対する進捗率が営業利益は17.7%にとどまっている。北米よりも中国にシフトし、その中国をはじめ新興国でもヨーロッパでも国内でも販売が苦戦しているので、秋から冬にかけて下方修正のニュースが届くかもしれない。ホンダは急激な為替変動に伴う費用や研究開発費の負担増により最終損益が減少して通期見通しも据え置き組に入っているが、北米市場で強いのでまだ挽回の余地はあると思われる。

 マツダと三菱は営業利益が過去最高を記録したが、マツダは前期で5期ぶりに純利益が黒字転換したばかりという状態で、三菱は復配準備の株式併合に続いて優先株の処理など資本政策のヤマ場を控え、まだ経営再建の道半ばというところ。戦略車をひっさげてグローバルな販売競争に本格的に打って出るのはまだ先になりそうだ。

 自動車業界にとって円安は追い風だが、円安のおかげで好調な業績にドライブがかかっているトヨタや富士重工と、販売の不調や高コスト構造や財務の脆弱さが円安でお化粧されて数字の見栄えが良くなっている日産、マツダ、三菱は、分けて考える必要がある。円安の追い風は、いつかはやむ。その時に業績が前年比で伸びるか、伸びないか、大きな差がついて二極分化する可能性がある。(編集担当:寺尾淳)