米に向かうミサイル撃墜 現能力では困難と政府

2013年08月15日 09:04

 米国に向かうかもしれない弾道ミサイルを撃ち落すことは日本の現在の弾道ミサイル防衛システムでは「極めて困難」と政府が答弁した。社会民主党の福島みずほ前党首が内閣法制局に対し、集団的自衛権に関する質問主意書の中で質していた。福島前党首が14日、自身のブログに答弁書を掲載した。

 それによると政府は「日本が現在導入している弾道ミサイル防衛システムで米国など日本から遠距離にある地域へ向かうような弾道ミサイルは高高度を高速度で飛翔するため、遊撃することは極めて困難」と答えている。

 質問主意書に対する答弁は13日の持ち回り閣議で決定したもの。福島前党首は質問主意書で「米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃に関して、そもそも現在の日米の防衛能力において、弾道ミサイルを撃ち落とす技術は確立されているのか」と聞くとともに「撃ち落す技術の精度、裏付けとなる実験結果などについて明示されたい」としていた。

 これに対し、政府は「我が国が現在導入している弾道ミサイル防衛システムはスタンダード・ミサイルSM―3搭載イージス艦とペトリオット・ミサイルPAC―3により、我が国に飛来する射程約1000キロメートル級の弾道ミサイルに対処し得るよう設計されている」とし「イージス艦による迎撃については、我が国の発射による迎撃試験において、4回中3回命中しているほか、米国の発射による迎撃試験において、24回中19回命中しているものと承知している」と回答。

 また「ペトリオット・ミサイルPAC―3については我が国の発射による迎撃試験において、2回中2回命中しているほか、平成15年の米国等によるイラクに対する武力行使の際に現地に展開し、迎撃範囲内の全ての弾道ミサイルの迎撃に成功したとの発表が米国政府によりなされたと承知している」とした。

 また「弾道ミサイル防衛システムについては我が国としても独自に分析を行っており、これら過去の試験等の結果に鑑みれば当該システムの技術的信頼性は高く、我が国の領域に飛来する弾道ミサイルの迎撃に成功する確率は相当に高いものと考えている」としたうえで「米国などの我が国から遠距離にある地域へ向かうような弾道ミサイルは、高々度を高速度で飛翔するため、我が国が現在導入している弾道ミサイル防衛システムで、このような弾道ミサイルを迎撃することは技術的に極めて困難である」とした。

 このことは、集団的自衛権の行使を容認した場合、高高度を高速度で飛ぶ弾道ミサイルを撃ち落す能力を備えるための軍事防衛技術の開発と整備に着手する根拠づけとなるものといえよう。(編集担当:森高龍二)