進む自動車の電装化、力を発揮する日本の電子部品メーカー

2013年08月17日 20:54

 今年、2013年は世界でもっとも規模が大きなモーターショー、「フランクフルト・ショー」が9月に開催される。それに先駆けて、この6月にドイツの車両部品メーカー大手のコンチネンタル、ボッシュ、ZFなどが、それぞれの技術を世界に向けて発信するイベントを開催した。HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)などの登場・普及で、さまざまな自動車用電子部品が必要となり、その信頼性の高さと正確な制御技術をアピールする目的のイベントだ。

 近年自動車は電装化が進み、エンジン制御やブレーキ、車両安定化などの重要な部分も電子部品が関与している。それ故、温度や湿度、埃や塵などに対する耐性、ECUなどに影響を与える電気的なノイズの低減など高い信頼性と耐久性が求められている。

 そこで、自動車の重要部品を供給するコンチネンタルやボッシュのようなメガサプライヤーは、それら部品を構成するパーツを供給する2nd/3rd部品メーカーに、これまでよりも高い精度のパーツを要求し、高品質な供給先に対して「サプライヤー賞」などを贈呈している。

 例えば、コンチネンタル社では900社超のサプライヤーを総合的な評価基準で評価し、毎年表彰している。今年は、日本セミコンやオムロン<6645>、ローム<6963>などが「サプライヤー賞」を受賞した。なかでも今回、ロームが受賞した「品質特別賞」は隔年に1社だけに贈られる、言わば特別金賞のようなもの。つまり、2年以上にわたって設計開発、精度、材料の管理、そして納期や特殊な要求への対応など、部品品質に対する総合的なポテンシャルの高さが評価された恰好だ。

 ここ数年、自動車は大きな変革にさらされている。現在、コンチネンタル社などの車載用メガサプライヤーは、フル・ハイブリッド車(プリウスは約200Vでモーターを駆動)と12V電源だけでアイドルストップなどを制御する現在の省燃費車(ふつうのクルマ)の中間を狙ったコストパフォーマンスが高い「48V Eco Drive(48V電源で小さなモーター駆動するアシスト車)」の開発を競っている。また、世界的なトレンドであるエンジンのダウンサイジングにおいて6気筒が4気筒、4気筒が3気筒になることを見込んだエンジン電子制御振動対策「アンチバイブレーション・コントロール(AVC)」の開発を積極化しているという。

 今回、コンチネンタル社の「サプライヤー賞」を日本の多くの電子部品メーカーが受賞したこの事実は、日本の技術力が車載重要部品開発でいかんなく発揮された結果だ。今後も前述したような新技術開発において、メガサプライヤーを日本の電子メーカーが支えていくだろう。(編集担当:吉田恒)