11日の会見でカネボウ化粧品の夏坂真澄社長は、「ロドデノール配合」の美白用化粧品により白斑症状が出た問題の影響によって、売上高がおおよそ2割減少していることを明らかにした。この日の会見は、第三者による調査結果がまとまったことを受けて行われた。
夏坂社長は、「カネボウ商品のユーザーの方たちの信頼を裏切ってしまった。発症した全ての方々に笑顔が戻るまで、カネボウでは責任を持って対応し、信頼回復に努める」と述べた。症状発生に対する補償に関しては、医療費はもちろんのこと、交通費に至る過去の分にまで遡り、回復するまでの費用を全てカネボウが負担するほか、慰謝料ついては「白斑症状が発生した方々の、回復期間等を考慮した上で個別に計算し、回復した時に支払う」としている。一部の発症者に対する支払いは、すでに行われている。
また、経営者としての自らの責任に関しては、「現時点では、発症した顧客への対応に専念することで、その責任を全うする」とコメントし、辞任への可能性を否定した。
また夏坂社長によれば、責任の所在を明らかにするため、会長と社長が月額報酬の50%を6ヶ月間返上、研究・技術担当の取締役も月額報酬の40%を6ヶ月間返上など、合計10人の役員に対する報酬の一部返上が決定された模様。
7月末に行われた決算会見で、カネボウの親会社である花王は<4452>は、今回の「白斑症状発生」問題により、売上高が100億円減少、営業利益が60億円減少との見込みを発表していたが、今後、カネボウ商品に対する不信感から消費者離れが進み、また、慰謝料の支払いなども計算に含めた場合には、その減少額がさらに大きなものになることは避けられないだろう。
カネボウは再発防止のために、8月12日付で「お客様相談窓口」を花王と統合した。また、品質保証部門を研究から独立させ、社長直下とし、実質上の運営を花王と統合するといった策も打ち出した。
今回の問題を調査していた第三者調査委員会は、「意識的な隠ぺいがあったとまで言わないまでも、会社にとって都合の悪いことに関しては無視しよう、という態度が現われていると評価されても仕方がない」とし、カネボウが白斑発症を「病気」と捉え、具体的な対応を起こすまでに時間がかかり過ぎたと、そう指摘した。(編集担当:滝川幸平)