8月9日は「美白の日」。昔から「色の白いは七難隠す」といわれており、日本人女性にとって透明感のある白い肌はあこがれの対象だった。90年代までは日焼けブームもあったが、その後は化粧品メーカーが紫外線のもたらす肌への悪影響を喧伝したこともあり、美白ブームが到来した。
そんな美白ブームを背景に、今回のカネボウ化粧品問題は起きた。被害を受けた人は7000名弱。美白効果を信じていた多くの女性は、裏切られたという思いや不安でいっぱいだろう。
日本人女性の美白に対する思い入れは強く、その市場規模は2000億円以上ともいわれる。美白を意識することは多くの女性にとって、もはや日常生活の一部になっているのだ。ナガセ ビューティケァの「働く女性の『肌と美白』に関する意識調査」によれば、女性の7割が、夏だけではなく1年を通して美白ケアをしている。
さらに美白ケアを行うパーツは、顔だけでなく全身へと広がっている。同アンケートでは「首・デコルテ」の美白ケアをしている女性は6割にのぼり、20代では「脚」の美白ケアをしている人が最も多かった。とにかく露出する部分を白くしたい、という望みが透けてみえる。カネボウの被害でも、顔以外に首や手の甲など広範囲に症状が出た例が目立った。
美白ケアに費やす金額も多い。年代別では50代が年間5万円以上と最も高く、次いで20代の約4万円。同調査によると、高価格の「美容クリーム」などには「さらなる効果が得られるならもっと支出を費やしてもいい」という意見が多かった。スキンケア商品は価格が高ければ高いほど、効果への期待も大きくなるようだ。
そんな彼女たちに向けて、メーカーは相次いで価格の高い美白化粧品を売り出してきた。今回被害のあったカネボウのブランド、「ブランシールスペリア」の美容液は、45ml入りで10500円だ。「高いからこそ、きっと白くなる」と期待して購入した女性は多いことだろう。
今回、被害を受けた女性たちの思いは察してあまりある。だが事件が落ち着いても、美白ブームが収まることはないだろう。多くの女性たちはおそらく、別の新しい美白化粧品へと乗り換えるだけである。それくらい日本人女性の美白にかける思いは強いのだ。(編集担当:北条かや)