IOC総会の総理発言 適切だった 高村副総裁

2013年09月16日 13:00

 自民党の高村正彦副総裁は安倍総理がIOC総会で東電福島第一原発の事故に伴う汚染水問題について「状況はコントロールされている」とし、汚染水の影響は「港湾内の0.3平方キロメートル以内で完全にブロックしている。政府が責任を果たしていく」としたことについて、15日、NHK番組の中で「東京まで危険なんじゃないか、という風評被害が蔓延しようとしていた時に、汚染水は港湾の0.3平方キロメートルの範囲内で、それ以外は汚染水の測定値は出ていませんよという客観的事実をあげ「」コントロールされている」と言ったのは極めて適切であった」と語った。

 高村副総裁は、コントロールされているとの総理の発言に批判が出ていることについては「汚染水貯蔵タンクからの漏えいなどがあり、漁業者や住民の方たちからは、ちょっと違うんじゃないか、という気持ちを持つのも無理からぬことだと思う。これから政府が前面に出て、完全にコントロールする、完全にブロックするということを果たしていきたい」と総理の発言を擁護した。

 公明党の石井啓一政調会長も「全体の状況として、東京にまで非常に大きな影響があるというような、オリンピック開催にまで非常に大きな影響を与えるのではないかという中で、福島海洋の放射性物質の濃度は極めて低い状況にあり、そのことをコントロールされているといわれた」とし「9月3日の政府の基本方針を内外の英知を結集して、政府が前に出て、計画策定から工程管理までしっかりやっていくことを党として、求めていく」と述べた。また、汚染水問題での閉会中審査について「今月中にも開かれるよう、協議されていると理解している」と今月中に審査されるものとの認識を示した。

 一方、「総理発言に怒りを覚えた」という共産党の山下芳生書記局長代行は「状況がコントロールされているのなら、なぜ、汚染水事故が繰り返されるのか」と批判。「福島の漁業者は9月から予定の試験操業を延期した。(政府が)間違った認識を前提すると、ちゃんとした対応はとれない」とし、(1)原発はコントロールされていないということを共通の認識とし、国をあげて汚染水対策にあたること。収束宣言は撤回すること(2)汚染水がどこから、どのように漏れているのかが分かっていない。だから政府責任で内外の英知を結集して、まず原因を突き止め、そのうえで、抜本対策をとること(3)原発の再稼動に向け、審査のスピードをあげるため省庁は人員を増やしているが、汚染水対策に人と資源を集中すべきとした。

 みんなの党の浅尾慶一郎幹事長は、汚染水問題に限らず、原発事故処理が進まない原因のひとつに「財務体質の弱い東電に任せてきたことがある」と指摘。政府がやるべきだとした。浅尾幹事長は「東電福島第一原発の1号機から4号機は廃炉になり、廃炉費用を計上しているが、(実際に稼動できないであろう)5号機、6号機はまだ稼動資産として計上されているし、第二原発も1号機から4号機まで、健全な資産として計上している」などをあげ、第一原発の5号機、6号機を廃炉とすれば債務超過に陥るなど、財務体質の弱さが対策を後手後手にさせていると指摘した。

 民主党の長妻昭幹事長代行も「われわれも反省する点がある。東電がノウハウも技術も持っているので、第一義的には東電が責任を持ってやるというのはいいのだが、浅尾さん指摘の通り、財務体質が脆弱な企業にやらせると、コストが嵩むことはやらない。今、如実に現れている」と指摘。「国が前面に出てやるということなので、われわれもいろいろなアイデアがあるので、閉会中審査を是非開いて頂きたい」と汚染水対策に積極的に提言していく姿勢を示した。

 自民党の高村正彦副総裁は「(長妻幹事長代行が)われわれも反省するところがあると言って頂いたのは率直で良かったと思う」とし「やはり、国が前面に出るべきだったので、国が前面に出ることにした。民主党が閉会中審査を求めていることを評価する」とした。(編集担当:森高龍二)