大塚製薬 米国バイオベンチャーを買収 抗がん剤開発を強化

2013年09月16日 13:44

 大塚製薬<4578>は、アステックス ファーマシューティカルズ インク(本社:米国カリフォルニア州ダブリン、会長兼CEO:ジェームス S.J.マヌーソ、以下「アステックス社」)買収すると発表した。

 アステックス社は1991年に設立されたバイオベンチャーで、英国ケンブリッジにフラグメント分子設計創薬研究所、米国カリフォルニアに臨床開発部門を有する企業。創薬研究所については、独自に進化させた「フラグメント分子設計」創薬技術を有し、疾患に関与している標的タンパク質に対して従来のハイスループットスクリーニングでは見出すことが出来なかったリード化合物を、短期間で創り出すことを可能としている。過去8年間で8つの“がんと中枢神経領域”における新規化合物を創出して臨床開発段階に移行している。

 アステックス社のフラグメント創薬技術と、大塚製薬が発見・開発し、世界60国・地域以上で承認されている非定型抗精神病薬の一つである「エビリファイ」で培った中枢神経領域の研究を組み合わせることによって、今後は新たな作用メカニズムの中枢神経領域の医薬品を届けられると期待しているという。

 臨床開発部門は、抗がん剤の開発に特化し、血液がん治療剤「静注ダコジェン」(一般名:デシタビン)の開発に成功している。このように臨床開発力にも優れたアステックス社を買収することで、がん領域のポートフォリオを拡充するとともに、大塚製薬の抗がん剤開発体制を強化していくとしている。

 大塚製薬代表取締役社長岩本太郎氏は、「今回のアステックス社の買収は、当社の目指すがん領域のポートフォリオ拡充のみならず、中枢神経領域の創薬研究の強化にもつながるものと期待しています。アステックス社の研究者によって生み出された“独自のフラグメント創薬技術”と、“がん領域における臨床開発力”は、当社の企業文化である“創造と実証”そのものです。今後も大塚製薬はアステックス社の独自性を尊重し、大塚製薬のさらなる成長につなげていきたいと考えています」と述べている。(編集担当:久保田雄城)