18日、安倍晋三首相は現在5%の消費税を、2014年4月に3%増やし8%とすることを決断した。消費税の増税の是非を判断するための様々な経済指標は、景気が回復されるとの裏付けをしているもの、安倍首相の周りには、そうして増税が実施されることによって、景気が腰折れを起こすのではないかという声もあり、増税の幅を2%にとどめるべきとの意見もあったが、党内調整やこれからの国会運営などを鑑みて、3%増税は回避できないと判断した模様。また安倍首相は麻生太郎財務相に対して、法人税減税についての具体策の検討も指示した。
安倍首相は10月1日に発表される、日銀の9月の起業短期経済観測調査(日銀短観)や、8月の有効求人倍率などのデータを分析し、消費税増税の最終判断を下し、それを発表する予定だ。
消費税の増税に関しては、4~6月期の国内総生産(GDP)改定値が大きな判断材料とされるとあって注目を集めていたが、9日に発表された国内総生産改定値は、名目が年率換算3.7%アップ、物価影響を除いた実質が3.8%アップという数値となり、消費税増税法の付則で目安とされていた名目3%、実質2%の成長率を上回る結果となった。
有識者60人を集め消費税増税の是非を検討した、8月の「集中点検会合」でも、参加者の7割が消費税の増税に賛成。そして先日決定した2020年の東京オリンピック開催により、インフラ整備による経済効果が期待出来ることも後押しする形となった。
ただし消費税の増税には消費の急速な落ち込みを誘発し、デフレからの脱却を阻む可能性もある。そのため、政府関係者の間では増税幅を2%に抑える案も提案されていたが、そういった「消費税増税法」関連の法案修正でもって、10月に行われる秋の臨時国会が混迷するようなことになれば、「成長戦略」に関する議論が一向に前に進まないのではないかという懸念もなされていた。
消費税が増税されることにより、一般家庭や企業に対して、年間8兆円もの負担が生じることとなる。そのため、2%引き上げ分の金額に相当する5兆円といった経済対策も、増税の発表の際に安倍首相により表明される予定だ。(編集担当:滝川幸平)