10月1日は世界が注目のアメリカの新会計年度入り。同じ1日にオーストラリア準備銀行が理事会を開き政策金利を発表する。5月と8月に0.25%利下げしているが市場見通しは追加利下げなし。2日はECB(欧州中央銀行)が定例理事会を開き政策金利を発表し、ドラギ総裁が記者会見を行う。5月に0.25%利下げしているが市場見通しは追加利下げなし。なお、翌週は7日の医学・生理学賞を皮切りにノーベル賞発表ウィークになる。その先取りで、来週はバイオ関連銘柄あたりが盛り上がりをみせるかもしれない。
アメリカ主要企業の決算発表は、10月2日はモンサント、3日はマリオットが発表する予定になっている。
アメリカでは、新年度予算案の連邦議会通過は9月30日がデッドラインで、債務上限の引き上げは10月17日がデッドラインだとルー財務長官が警告している。
新年度予算がデッドラインを過ぎると10月1日の新会計年度に間に合わなくなり、政府機関の一時閉鎖という事態に陥る。クリントン政権時代の1995年にそれが起きた際は、連邦政府職員が一時帰休して国立施設や国立公園が閉鎖され、国境は通れるがパスポートやビザの発給、経済統計の算出・発表などの業務が滞り、社会保障や軍人恩給の支給も停止された。公務員給与の遅配まで起きれば景気や市場への影響は大きくなる。
一方、債務上限の引き上げがデッドラインを過ぎると、米国債の借り換え債が発行できなくなって償還資金の手当てがつかず、債務不履行(デフォルト)に陥る。1998年のロシアや2001年のアルゼンチンで起きたような財政破たんによるデフォルトではなく、議会が予算枠を承認しないために起きる政治的なデフォルトなので経済をパニックに陥れることはないが、アメリカ合衆国という国家と米国債の信用は傷つき、金利や為替に影響が出るだろう。2年前の8月に同じ騒ぎが起きた時は、ギリギリで回避した直後に最上位だった米国債の格付けが引き下げられた。
来週の東京市場は、そんなアメリカの「デッドライン・プレッシャー」を受ける。30日のほうは議会で与野党がギリギリで妥協して何とか乗り切っても、その先には10月17日が待っている。債務上限問題が解決するまで、重苦しい雰囲気はぬぐえないだろう。
海外にデッドラインあれば、国内にイベントあり。今週かなり意識されていた日付が10月1日で、日銀短観発表-消費増税最終決断-安倍首相が記者会見で経済対策発表は、来週最大のハイライト。消費増税関連法案の可決・成立は1年以上も前で、経済対策の中身は何度も報じられているので織り込み済みかもしれないが、区切りはつく。経済対策でまだ報じられていないサムシングニューが出てくれば、「政策に売りなし」で関連業界の買い材料になる。しかし、それに水をかけるのがアメリカのデッドラインで、1日からの連邦政府機関の一時閉鎖が決定的になったりしたら政策期待を帳消しにするだろう。さらにその先は、4日のアメリカの雇用統計発表を前にして様子見・手控えムードが日々高まっていくと考えられる。
実は来週、国内にもデッドラインがある。それは9月30日で、消費増税予定日の来年4月1日以降に引き渡しを受けるマンションや戸建て住宅は、この日までに契約をすませれば消費税は5%ですむ。そのため住宅業界では消費増税前の駆け込み需要が半年早くきていて、10月以降の動きが注目されている。駆け込みの山が高ければ、その後にくる谷も深しと連想されるから、10月早々に「完売続出!」「最高の売れ行き!」などと威勢のいい速報が出てきたら、この先の業績がズタズタになり通期見通しの下方修正ラッシュになるかもしれず、住宅関連銘柄は要警戒だ。
そうしたことを考え合わせると、日経平均の15000円チャレンジは瞬間最大風速でタッチすることはあっても、アメリカで共和党がオバマケアを認めて新年度の暫定予算案を通すとか、安倍内閣の経済対策の中身に思いもよらぬポジティブサプライズがあるなど、よほどの好条件が揃わないと定着はしないだろう。イベントの谷間の今週のほうがチャンスだったのだ。一方、下値のほうは為替要因などで大きく下げたとしても、26日の安値14410円を下回るとは考えにくい。
というわけで、今週と同様に日々もみあって、来週の日経平均終値の変動レンジは14400~15000円とみる。(編集担当:寺尾淳)