NYダウは66ドル安で4日続落。連邦議会は債務上限引き上げ問題も新年度予算案審議も進展なし。このままでは10月1日に突入する連邦政府機関の一時閉鎖はクリントン政権で一度ある。消費者信頼感指数は前回から2.1ポイントも低下した。25日朝方の為替レートはドル円は98円台後半、ユーロ円は133円近辺の円高水準になっていた。
日経平均は19.58円安の14713.03円で始まる。下落し14700円を割り込んだ後に急反発し午前9時台後半はプラスにタッチするが、10時台は再び14700円割れ。権利付き最終売買日なのでやはり値動きは激しい。後場もおおむね14600円台で推移したが、午後1時40分頃から急伸して14700円を突破する。しかしプラスにはタッチできない。「御三家」の腰が重く、配当取りや株主優待取りを狙う勢力がいくら買いを繰り出しても粘って土俵を割らない。やがて為替の円高も加わり2時30分頃から押し返されて後退し、14700円、14650円を次々に割り込んで、日経平均採用銘柄の入れ替えもからんで噂された「大引け前の大量買いで高値引け」のうっちゃり大逆転も起きずに112.08円安の14620.53円で逆に安値引けの完敗。TOPIXは-3.72の1211.15で大崩れしておらず、2時台の先物売り攻撃にしてやられた。売買高は31億株、売買代金は2兆2281億円だった。
値下がり銘柄1029に対し値上がり銘柄は623で全体の約36%あった。業種別では7業種が上昇し、化学、海運、電気・ガス、銀行、鉱業、輸送用機器など。下落した業種は鉄鋼、非鉄金属、機械、空運、不動産、建設などだった。
終盤に下げの猛攻を加えた「御三家」の日経平均マイナス寄与度は合計56円で下げ幅のちょうど半分。日米の大型M&A発表で640円高の東京エレクトロン<8035>のプラス寄与度は25円でとてもかなわず、買い需要が約850億円と推計された日東電工<6988>は大引け前の大量買いで売買代金1位、値上がり率2位の1000円高と大健闘したが、日経平均に採用される前日なので寄与度はむなしく0円。除外される東急不動産<8815>は売り需要が150億円と推計され、47円安でマイナス寄与度は1円88銭だった。
メガバンクは、三菱UFJ<8306>は大和証券が目標株価を引き上げて3円高、みずほ<8411>は1円高でも三井住友FG<8316>は40円安で明暗が分かれたが、元気だったのが地方銀行で横浜銀行<8332>は9円高、千葉銀行<8331>、静岡銀行<8355>は4円高など上昇銘柄が並んだ。自動車大手は、景気回復を受けて今年度の国内自動車販売台数が25万台上積みされ前年比一転増加と報じられ、トヨタ<7203>30円高、日産<7201>3円高、富士重工<7270>17円高などおおむね堅調。下落銘柄もホンダ<7267>は5円安、マツダ<7261>は3円安にとどまった。しかし電機は電子書籍ストアの「Reader Store」を刷新するソニー<6758>が9円安、パナソニック<6752>が3円安など全般にふるわなかった。
東京電力<9501>は、安倍首相がカナダのハーパー首相と会談してシェールガス輸入で合意し、続いてNYでフランスのオランド大統領と会談し福島第一原発の廃炉で協力を取り付けたと報じられて売買が盛り上がり、売買高1位、売買代金2位で2円高。小型株や低位株が買いを集め、売買高ランキング10位以内に終値300円未満の銘柄が日本高周波鋼業<5476>など8銘柄も入っていた。
五輪関連で前週から高値圏にあったJAL<9201>は上昇ひと休みで130円安。ミネベア<6479>は9月中間期の営業利益が6割増と伝えられ11円高で年初来高値更新。ユニ・チャーム<8113>は中国で高機能紙おむつの生産を強化し3年後に1兆円を目指す計画が好感され90円高と買われた。「日高屋」のハイデイ日高<7611>は8月中間期決算で営業利益が約2%増で過去最高と発表し9円高。マザーズのアンジェスMG<4563>は11時、「新しい遺伝治療法で特許を取得」と発表しマイナス圏から一気に13500円急騰したが、終値は2400円高だった。
エンビプロHD<5698>が東証2部に新規上場。静岡県富士宮市が本社で金属やプラスチックの資源リサイクルを行う「静脈産業」の会社で、公開価格700円に対し1040円の初値がついた。上場初値が公開価格を上回る記録はなお継続中。終値は881円だった。
この日の主役は東京エレクトロン。前日、アメリカの半導体製造装置大手アプライド・マテリアルズとの経営統合に基本合意したと発表した。統合日は未定だが来年後半の見込み。合わせて時価総額290億ドル(2兆8500億円)の国境を超える大型M&Aで、時価総額は東京エレクトロンのほうが小さいものの両社がオランダに設立する持株会社の傘下に入るという三角統合で、形の上では対等。上場廃止になる東京エレクトロン株1株に対し外国企業として東証に上場する持株会社株3.25株を交付し、アプライド株1株に対し持株会社株1株を交付する。持株会社はNASDAQにも上場する。統合初年度に年2億5000万ドル、3年後に5億ドルのシナジー効果を目指すという。
アプライド株は9.1%上昇し、東京エレクトロン株も一時ストップ高で売買代金9位、値上がり率3位と、マーケットの評価は上々。同社の大株主のTBSHD<9401>は63円高で値上がり率14位。子会社の半導体商社の東京エレクトロンデバイス<2760>も一時ストップ高の24000円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。同じ半導体製造関連では、日立ハイテク<8036>は39円高、大日本スクリーン<7735>は5円高、信越化学<4063>は10円高だったが、アドバンテスト<6857>、ニコン<7731>、キヤノン<7751>、京セラ<6971>は下落した。ルネサスエレクトロニクス<6723>は12円高。ジャスダックでは同社と取引がある電子部品商社の内外テック<3374>がストップ高比例配分の50円高で、ファブレスの半導体メーカーのザイン<6769>もストップ高比例配分で100円高になった。(編集担当:寺尾淳)