【日経平均】10月1日のイベント待ちの空気強く39円安

2013年09月27日 20:12

 NYダウは55ドル高で6日ぶり反発。新規失業保険申請件数が市場予測を下回って雇用懸念が後退し、5日で400ドル余りも下げた値頃感で113ドルまで上昇したが、債務上限問題も新年度予算案審議も情勢に変化なく上値を抑えられた。27日朝方の為替レートは、ドル円は99円近辺、ユーロ円は133円台半ばで、前日よりやや円安になっていた。

 8月の全国消費者物価指数(CPI)は0.8%増で3ヵ月連続プラス。9月の東京都区部のほうは0.2%増で5ヵ月連続のプラスだった。しかし、前日の高値引けの要因のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用見直しの中間報告は、「比較的リスクの高い資産の運用拡大」とは言うが債券から株式にシフトする数値目標など何もなく肩すかし。

 日経平均は4.87円高の14803.99円で始まるが、すぐに下落して14800円を割り込み15000円が遠ざかる。しばらくTOPIXはプラスだったが、日経平均とともに下落して午前9時35分に安値をつける。その後は時報に合わせたように10時頃と11時頃にプラスにタッチしてはまた下落するというパターンを繰り返す。ドレッシング買いが入る月末でもあり利益確定売りの金曜日でもありという微妙な日柄で、もたもたした地合いが続く。

 後場は高く始まりプラスにタッチするが続かず、午後1時台は14760~14790円のレンジで推移。2時台に円高が20銭進むと日経平均は50円を超える下落で一時14700円割れ。10月1日に日銀短観、消費増税、経済対策の発表を控える様子見なのか手じまい売りが支配的。それでも大引けにかけて戻し終値は39.05円安の14760.07円。15000円チャレンジどころか1勝3敗、前週末から17円上がっただけで今週の取引を終えた。TOPIXは-2.97の1217.52。売買高は30億株、売買代金は2兆402億円だった。

 値下がり銘柄851に対し値上がり銘柄は771で意外に多く、業種別騰落率もプラス14対マイナス19。上昇の上位は空運、ゴム、パルプ・紙、電気・ガス、繊維、鉄鋼など。下落の下位は海運、金属製品、機械、保険、石油・石炭、輸送用機器などだった。

 日経平均寄与度はソフトバンク<9984>とファーストリテイリング<9983>はプラス側で合計+19円。ファナック<6954>はマイナス側で-6円と「御三家」はあまり関与せず。むしろトヨタ<7203>、ホンダ<7267>、デンソー<6902>など自動車関連銘柄が足を引っ張っていた。

 アメリカ司法省が価格カルテル問題で日本の自動車部品9社と合計732億円の罰金を科す司法取引に合意したというニュースがもたらされ、当事者の三菱電機<6503>は1円安、三菱重工<7011>は4円安、ミツバ<7280>は247円安で値下がり率トップ、日立オートモーティブシステムズを連結子会社にしている日立製作所<6501>は10円安、ジェイテクト<6473>は24円安、日本精工<6471>は13円安、ティラド<7236>は11円安。埼玉県ふじみ野市が本社の山下ゴムは未上場だが密接取引先のホンダは30円安。ヴァレオジャパンの親会社Valeo社の26日のパリ証券取引所での株価は0.43ユーロ(0.68%)下落した。無関係でもデンソーは45円安、ユニプレス<5949>は94円安、ニッパツ<5991>は34円安など連想売りで自動車部品銘柄は総崩れ。トヨタも北米市場で「シエナ」などミニバン69.4万台をリコールすると発表し70円安になるなど、この日は自動車セクターの厄日だった。

 その自動車と住宅への選択と集中を進めるパナソニック<6752>は、アメリカの投資ファンドへのヘルスケア事業売却で合意し2円高。いつもは地味な電線会社が買われ、昭和電線HD<5805>は8円高で年初来高値を更新し値上がり率10位で、その母体で大株主の東芝<6502>は9円高。東京特殊電線<5807>は4円高で、それを連結子会社にしている古河電工<5801>は3円高。沖電線<5815>は2円高で年初来高値を更新し、その主要株主のOKI<6703>は3円高と〃親孝行〃ぶりが目立った。30日に10分割の株式分割を実施するオービック<4684>は9月中間期で経常利益が8%増と報じられ65円高と続伸し年初来高値を更新した。

 東レ<3402>は日経新聞1面で、アメリカの炭素繊維大手で世界シェア3位のゾルテック社を576億円で買収し、炭素繊維の世界シェアを3割に高めると報じられ10円高。航空機用など高級品に偏った商品構成が自動車用の価格の安い汎用品にもひろがる。

 小売の平和堂<8276>は8月中間期の純利益が57%増の43億円と好調で19円高。1年前の中国の反日暴動の悪夢から順調に立ち直っている。鉄道大国のインドで鉄道信号システムに参入する日本信号<6741>は5円高。日本人の多くが持つ「インド=鉄道の大事故=おびただしい死者」という悪いイメージを日本の技術で払拭できるか。そのインド起源の国民食、カレーショップの壱番屋<7630>は6~8月第1四半期の純利益が9%増で65円高と4日続伸した。

 プロ野球の楽天イーグルスが前夜パ・リーグ初優勝し、ジャスダックの楽天<4755>は朝から取引はにぎわうが54円安。「楽天市場」は優勝セール実施中。本拠地の宮城球場の命名権を持つ日本製紙<3863>は4円高。仙台の企業は、鎌田宏会長が仙台商工会議所会頭を務める七十七銀行<8341>は1円高、酒類販売のやまや<9994>は15円高だが商社のカメイ<8037>は3円安。優勝セールでにぎわうデパートの藤崎、ユニフォームスポンサーのアイリスオーヤマは未上場。

 この日の主役は東京電力<9501>。前日に新潟県が柏崎刈羽原発の再稼働に必要な安全審査申請を条件付きで承認し、この日午前、原子力規制委員会に6、7号機について申請した。他の5基も申請準備中という。再稼働すれば月200~280億円の燃料費削減につながるので朝から買いを集め売買高2位、売買代金1位。株価は一時50円高まで上がり終値37円高で値上がり率15位に入った。再稼働期待で、原発関連銘柄の代表格の木村化工機<6378>は26円高、日本製鋼所<5631>は15円高になっていた。(編集担当:寺田淳)