前週末20日のNYダウは185ドル安と大幅続落。株価指数の先物、オプションの清算日にHP、アルコア、バンカメ3銘柄のNYダウからの除外も重なって出来高は前日の約3倍に膨らんだが利益確定売りに押された。22日のドイツの総選挙は、メルケル首相の所属政党は大勝しても単独過半数に届かず、連立相手の政党が議席ゼロの大敗を喫したため連立組み替えが経済政策を制約しかねないという悩ましい結果になった。
23日のNYダウは49ドル安で3日続落しNYダウに新たに加わったゴールドマンサックス、VISA、ナイキの3銘柄は揃って下落。連邦議会では債務上限問題がらみの予算案審議の行き詰まりで政府機関の一時閉鎖の話まで出て市場は混迷した。24日朝方の為替レートはドル円は98円台後半、ユーロ円は133円台前半で、前週末よりも円高が進行した。
NYの軟調もあり取引前の外資系証券の売買注文動向は売り越し。日経平均は116.38円安の14626.04円で始まるが、次第に下げ幅を圧縮。しかし14727円をピークに14600円台後半でもみあい、午前10時台は徐々に下げる。それでも14600円は割り込まず後場は持ち直す。午後1時30分すぎから14700円にたびたびタッチ。2時台はさらに上昇し、2時30分をすぎると為替の円安のフォローも受け先物、現物の順にプラスに浮上した。しかしTOPIXがマイナスのままの「NTねじれ現象」が続き、大引け直前の最後の下押しで終値は9.81円安の14732.61円。TOPIXは-4.11の1214.87だった。売買高は28億株、売買代金は1兆9235億円で、4日ぶりに2兆円の大台を割った。
値下がり銘柄807より値上がり銘柄847のほうが多くても、東証1部業種別騰落率のプラスは9業種だけ。プラス上位はパルプ・紙、情報通信、鉄鋼、石油・石炭、医薬品、化学など。マイナス下位は金属製品、保険、不動産、精密機器、鉱業、電気・ガスなどだった。
日経平均寄与度上位はファーストリテイリング<9983>が+18.02円、KDDI<9433>が+11.21円、ソフトバンク<9984>が+8.41円と奮闘したが結局プラスで終われず。マイナス寄与度の上位は京セラ<6971>、キヤノン<7751>、三井不動産<8801>。終盤に日経平均をプラスまで押し上げた原動力は円安と、権利付き最終売買日を翌日に控えた権利取りの買いで、配当利回りが良い医薬品株は武田薬品<4502>が65円高、エーザイ<4523>が5円高など好調だった。
基準地価が発表された前週は上昇した不動産セクターはドイツ証券が投資判断を引き下げたこともあり軟調で、三井、三菱、住友の大手3銘柄は揃って下落。海外企業の買収で下げたのがカゴメ<2811>と午後2時発表のLIXILG<5938>で、カゴメの買収先はアメリカの種苗大手で9円安。LIXILGの買収先はドイツの住設機器大手で、138円安で値下がり率2位になった。
評判は賛否入り交じっても新型iPhoneは発売後3日間で世界で900万台売れた。前日のアップル株は一時6%を超える上昇で、アップル関連のフォスター電機<6794>は32円高、ヒロセ電機<6806>は240円高、航空電子<6807>は38円高で、以上3銘柄は年初来高値更新。村田製作所<6981>は110円高、26日に日経平均に採用される日東電工<6988>は140円高。携帯キャリアのほうはソフトバンクが70円高、KDDIが140円高。NTTドコモ<9437>は3月決算の高配当利回り銘柄でもあり1400円高だった。
23日に中国の9月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表され、8月の改定値50.1を1.1ポイントも上回る51.2と景況は順調に回復中。しかし前日上昇した上海市場が反落し、中国関連のコマツ<6301>は40円安、日立建機<6305>は55円安。その建機のレンタル業の西尾レントオール<9699>は9月期の業績予想を純利益79%増に上方修正し、通期配当予想も20円から30円に引き上げて117円高で年初来高値を更新した。カナモト<9678>は公募増資と第三者割当増資で約79億円を調達すると発表して希薄化懸念で安く始まったが、徐々に値を上げて終値は32円高で年初来高値更新。やはり五輪関連銘柄は強い。セガサミーHD<6460>は9月中間期の経常利益予想を下方修正しマイナスで始まりながら結局42円高で、カジノ関連も強い。
マザーズでは、バイオ関連株のナノキャリア<4571>は東証の信用取引規制をはね返し4.37%上昇。27日の東証1部指定替えを発表したエムアップ<3661>は終日値がつかず150円高のストップ高比例配分だった。上場2日目のオープンハウス<3288>は330円高で値上がり率8位と快調。セメントやレンガやタイルを製造する「土石業」が値上がり率ランキングに顔を揃え、1位がA&Aマテリアル<5391>、4位が東京窯業<5363>、6位が品川リフラクトリーズ<5351>、11位がダントーHD<5337>、16位がイソライト工業<5358>。かつては京セラもこの土石業に分類されていた。
この日の主役は原子炉廃炉と放射能除染。東京電力<9501>が福島第一原発5、6号機を廃炉にし、原発全体を「廃炉センター」にする検討に入ったと報じられた。廃炉技術を持つ原発関連の木村化工機<6378>は63円高で値上がり率10位。放射線濃度の強い土砂を分離・回収する「グラインドウォッシャー」の開発を発表したラサ工業<4022>はストップ高比例配分の50円高で年初来高値を更新し値上がり率2位。放射性廃棄物処理用の容器を製造する東証2部の日本ルツボ<5355>も50円高でストップ高比例配分だった。7円高の東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働の安全審査を申請する方針を固めたと伝えられた。柏崎刈羽を再稼働すれば福島第一の廃炉費用が捻出できるのだという。(編集担当:寺尾淳)