消費者の「日本酒」離れ?イメージは「安い」から「高級」へシフト

2013年09月29日 12:10

 10月1日は「日本酒の日」。毎年この時期から、新米を使った新酒造りがスタートする。だが一方で、日本人の「酒離れ」は止まらない。国税庁のデータでは、2010年度の「清酒」の販売数量は20年前と比べて6割も減少。清酒だけでなく、ビールやブランデー、ウイスキーも減っている。

 日本酒の消費が減った要因のひとつは、そのイメージの変化にある。宝酒造株式会社が20代~50代の男女3000名に対して調査を行ったところ、日本酒はこの20年で「毎日飲める手ごろなお酒」という庶民のイメージから、「高価で特別な時に飲むお酒」へと変化したことが分かった。

 20年前の同調査では、日本酒に対して約8割の人が「手ごろなお酒」であると答えていたが、今回の調査では「手ごろなお酒」との回答は半数以下に減少。一方で日本酒を「高価なお酒」であると捉える人は、20年前には1割にすぎなかったが、今回は約5割まで増えた。

 また日本酒を飲む頻度についても、「飲みたいとき」が減る一方、「特別なとき」が大幅に増加。飲む場所は、特に男性において「居酒屋」が20年前と比べて減少する一方、「家」は2倍近く、「料亭」との答えは3倍近くに増えている。日本酒のイメージは、「居酒屋で飲む手ごろなお酒」から、「料亭や家で特別な時に飲む、高価なお酒」へとシフトしているようだ。

 さらに飲むときの「人数」についても、「大勢で飲む」という回答が男女ともに減少。仕事上の付き合いや接待、職場の宴会など「その場の雰囲気で飲む」と答えた人も、男女ともに半減した。一方で「1人で飲む」「2~3人で飲む」との回答は増加しており、日本酒の飲用シーンは付き合いを含めて大勢で楽しむスタイルから、少人数や1人でじっくり味わうものへと変化していることが伺える。
 
 日本酒造組合中央会のデータでは、日本酒全体のメーカー出荷量(2013年上期)は前年を下回ったものの、価格の高い「吟醸酒」や「純米吟醸酒」などは大きく伸びている。卵が先か鶏が先かは分からないが、日本酒の消費量が減ったことと、消費者が日本酒に対して「本格志向」を強めていることには何らかの関係があるのだろう。(編集担当:北条かや)