旭硝子が中国・蘇州に自動車用ガラス第3工場を新設する理由とは

2013年10月20日 15:33

 旭硝子<5201>は、AFS(旭硝子特種玻璃(蘇州)有限公司)内に中国での自動車用ガラス第3工場を新設する。AFSにおいて現在稼働している太陽電池用カバーガラスの製造設備を順次停止し、この資産を活用して自動車用ガラス製造工場に事業転換する。今後約45億円を投資し、2015年第1四半期に量産を開始する予定。

 中国における自動車生産台数は、13年には2000万台を突破する見込みであり、今後も年率5%の高い成長が予想されている。これに伴い、自動車用ガラスの需要も確実に増加することが見込まれる。同社は1995年に河北省秦皇島の自動車用ガラス会社へ資本参加して以降、2006年には広東省仏山市に工場を設置し、自動車用ガラス事業の強化、充実を図ってきたが、今後の需要増に対応するため、生産能力のさらなる拡大が必要とされてきた。

 一方、太陽電池用カバーガラス市場は、中国内のガラスメーカー各社による過剰設備投資に伴い、急速に販売価格が下落している。同社は12年に米国の太陽電池用カバーガラス専用工場を閉鎖し、さらにフィリピンにおける太陽電池用カバーガラス素板の生産を停止しているが、供給過剰による価格低下の状況は改善されず、太陽電池用カバーガラス事業の採算は悪化している。

 これらの状況から、同社はAFSの太陽電池用カバーガラス工場を自動車用ガラス工場に事業転換することを決定した。AFSは、周辺へ多くの自動車メーカーが進出していること、自動車用ガラス素板を生産していること、太陽電池用カバーガラス製造停止後の資産が有効活用できること、などから自動車用ガラス工場新設の条件を備えている。第3工場は年間約120万台分の自動車用ガラス生産能力を備えており、同工場を加えた同社の中国全体での生産能力は合計、年間約360万台分に拡大する。

 AGCは、今後も収益性改善施策を展開し業績を上昇トレンドに反転させるとともに、新興国において拡大する需要を確実に取り込み、成長基盤の強化・定着を図っていくとしている。(編集担当:久保田雄城)