産業競争力強化法案 政府国会提出

2013年10月20日 12:43

 デフレ脱却に向け、供給過剰を是正し、規制緩和で経済活性化、需要創出することを狙いとした「産業競争力強化法案」を、政府は、このほど国会に提出した。これは、企業再編を後押しする、税制優遇措置を盛り込んだもの。この法案は、一方では、産業の新陳代謝を高めるものと捉えられている。どこまでこの法案が効果あるか未知数だ。

 産業競争力強化法案の概要は、3つの骨子に分かれているのが特徴だ。

 (1)「供給過剰の解消」赤字部門を切り離し、事業統合した場合、法人税を優遇、事業再編により、新会社を設立した時の登録税を軽減、供給過剰に陥っている業界を、国が調査して公表する。 

 (2)「新たな需要創生」企業が法改正を待たずに、規制緩和を進められる「企業特区」の新設、医療などの新規参入したい企業に規制の有無を知らせる「グレーゾーン制度」、ベンチャーキャピタル(VC)に投資する企業に、法人税優遇、国立大学のVCを解禁など。

 (3)「政府の役割」5年間にわたる規制改革などの実行、計画を策定、実現できない場合は公表するとしている。

 焦点は、企業の過剰設備の是正にある。その代表的な業界として、造船業界、電機業界、石油精製業界、鉄鋼業界、化学業界などは、いずれも供給過剰状態に陥っている業界だ。

 日本勢は、海外勢と比べて、規模や、収益面で劣っているといえよう。政府はこうした業界に、供給過剰の是正に向け、照準を合わせているようだ。

 今回の産業競争力強化法案で、新たに導入したのは、法人税の優遇制度だ。現行制度では、同業他社との競合のために、不採算部門を切り出すと、赤字額が減り、法人税の、課税対象の所得が増える。新制度では、新会社への出資融資額の最大70%を税金に算入できるので、法人税負担が増えにくいと言える。

 いずれにしても、中国などに対抗していくには、海外と競合しないような、高い技術を身に着けた企業にすることが肝心と言えよう。(編集担当:犬藤直也)