米企業 医療保険見直し気運高まる

2013年10月24日 18:07

 米企業の間で、医療保険見直しの動きが活発化している。米国は日本のような国民皆保険制度がなく、これまで社会保障の担い手となってきた企業が、年ごとに増加する保険料の負担に苦しんでいるのが実情だ。2015年からは、保険制度改革法(オバマケア)の一環として、保健を提供しなくてはならない従業員の範囲が広がる、企業の防衛意識は一層強まりそうだ。

 医療保険関連の有力な調査機関カイザー・ファミリー財団によると、従業員1人当たりの医療保険額は、年間1万6351ドル(約160万円)となっている。その内従業員負担分が456ドルで、残りの1万1786ドルを企業が支払う。

 企業側の負担額は、2003年に比べて77パーセント増、08年と比較しても21パーセント増えている。高齢化などに伴う医療費の拡大で、保険料が上昇、その分多くに企業が負担する仕組みが限界点にきているとの見方が一般的だ。そうした面で、オバマケアの懸念も強まっているのも確かだ。またコスト増を懸念する中小企業が、雇用を増やせないとの批判が上がり、中小企業の業界団体、全米独立事業者協会(NFIB)は、制度の見直しを求めている。

 こうしたことで、企業では、対象者を限定したり、補助費を固定化した上で、従業員自らが、保健に加入する仕組みに切り替えたりする企業が相次いだ。医療費や保険料の拡大を背景に、企業の負担増は続く。米の保険市場(エクスチェンジ)は、個人がオンライン上で保険料や適用範囲などを比較し、自分の健康状態や予算に合った保険を簡単に選択できる仕組み。

 オバマケアと呼ばれる医療保険改革に基づいて、10月から稼働し始めた州政府などの運営する公営エクスチェンジもあるようだ。米議会においてもオバマケアに対する反対の声もあり、米の保険制度改革のハードルは高いものがあると言えよう。(編集担当:犬藤直也)