パナソニック<6752>は半導体事業を大幅に縮小する方針を固めたことがわかった。国内外合わせて現在、約1,4000人の従業員を来年度までに、7,000人規模に半減する。半導体事業は、海外メーカーとの競争が激化し薄型テレビ事業と同様に、不振が続いており、同社が2年連続で大幅赤字を計上した要因のひとつだった。
半導体事業の拠点は国内は魚津工場(富山県魚津市)、砺波工場(同県砺波市)、新井工場(新潟県妙高市)だが、撤退する可能性も孕んでいる。但し、国内については既に早期退職を実施しているので雇用については、他部門への配置転換で対応する方針だ。削減する従業員は海外が中心になると思われる。その海外の拠点は中国、インドネシア、マレーシア、シンガポールなどにある。このうちの一部の工場売却については、今年度中の合意を目標として、イスラエルの半導体受託生産の大手タワージャズと交渉に入った模様である。
従来、同社の半導体事業は、自社向けのテレビ、携帯電話等のデジタルAV家電をメインに行っており、海外メーカーとの価格競争が始まるまでは利益を出していた。実際、08年3月期の売上高は4,000億円を超えていた。だが、これらの同社のデジタルAV家電の不振の波をもろにかぶり、また外部への販売も伸ばすことができずに、一気に赤字体質となってしまい、13年3月期には、1,840億円まで落ち込んでしまっていた。
同社は国内の個人向けスマートフォン事業からすでに撤退しているが、プラズマテレビ事業においても今年度中にを撤退する方針を固めている。また傘下の三洋電機の本社ビル(大阪府守口市)は売却交渉中であり、積極的にリストラを実行中だ。
なお、家電などで使用される半導体のシステムLSI(大規模集積回路)については、富士通<6702>と開発・設計事業を統合させた新たな会社を設立することになっている。(編集担当:久保田雄城)