パナソニック<6752>は、マイナス40度の低温下でも充電・放電が可能なニカド電池「カドニカ GTシリーズ」を開発した。低温環境はもちろん、常温でも60度の高温環境でも対応できる仕様となっている。2014年度から量産を開始するという。
近年、インフラ整備や災害リスクへの対応から、信号機、通信基地局、サーバーなどのバックアップ電源、冷凍倉庫内の非常照明および、太陽電池を用いた街路灯、蓄電システムなどの独立電源システムへの関心が高まっている。しかし、世界には冬季気温がマイナス20度以下になる地域が多くあるが、従来の2次電池(鉛電池、リチウムイオン電池、ニカド電池、ニッケル水素電池)ではその温度下で安定的に使用することが困難だった。また、電池の温度を保つための専用ヒーターを搭載する場合もあるが、機器が大掛かりとなりコストがかかるという課題もあった。
今回、「電解液マネジメント技術」と「高性能負極板」を新たに採用することで、従来のニカド電池の対応温度を大幅に上回るマイナス40度の低温環境でも充電・放電が可能となり、寒冷地などへの設置場所拡大、システムの簡略化、低コスト化などに貢献できるようになった。冷凍倉庫非常灯、寒冷地仕様機器(無線機、測定器、登山機器、船舶用照明など)、屋外バックアップ機器(基地局、信号機、防災照明、トンネル非常灯など)、独立電源(ソーラー街路灯など)の幅広い用途が見込まれる。
一般的に、電池内部の活物質の化学反応は温度が低いほど不活発となり、電池性能は落ちることが知られている。また、ニカド電池など水溶液系の電解液を使った電池はマイナス20度以下の低温環境では電解液が凍結し、電池が機能しなくなる。そこで同社では、「高性能負極板」を採用することで、低温時の反応性を向上させると同時に、電解液凍結抑制に成功し、従来の同社製ニカド電池での対応温度(充電:0度、放電:マイナス20度)を大幅に上回るマイナス40度の低温下での充電・放電を実現した。(編集担当:久保田雄城)