三菱重工業<7011>、今治造船、名村造船所<7014>、大島造船所および三菱商事<8058>の5社は22日、ブラジルの大手造船会社・エコビックス-エンジェビックス社に、約300億円を投じて資本参加する。
ブラジルの海底油田開発の発展を目指す国内産業育成策に沿い、先進的な技術や運営ノウハウを提供することで日本とブラジルの造船業の相互振興をはかっていくのが狙い。同国の造船事業に日本の造船会社と商社が連合して出資する初めてのプロジェクトとなる。
日本連合は、三菱重工業をコンソーシアムリーダーとして、5社が現地に特別目的会社(SPC)を設立しエコビックス社株式のうち30%の出資参画を果たし、エコビックス社の経営に参画します。
日本連合のSPC内における出資比率は、三菱重工業が約50%、約150億円で残りが他の4社による出資となる。エコビックス社は、エンジニアリングや発電などを幅広く手掛けるジャクソン(JACKSON)グループの傘下。同グループはエコビックス社のほか、ブラジルの大手エンジニアリング会社であるエンジェビックス社、クリーンエネルギー発電会社のデセンビックス社、インフラ関連の運営を手掛けるインフラビックス社を統括する持株会社。
エコビックス社は2010年、ブラジル国営石油公社ペトロブラス社向けに、沖合のプレソルト層油田から石油を採掘する同国のプログラムをサポートするFPSO(洋上浮体式生産・貯蔵・積出施設)船体8隻を建造するために設立された。同社はラテンアメリカで3番目に大きな年金基金のFUNCEFと共同で、南部のリオグランデ・ド・スル州にある造船所を運営している。
同造船所は従業員5,000人強で、2,000トンのガントリー・クレーンを備えた国内最大のドライドックを所有している。
プレソルト層に埋蔵されている石油はここ数十年で最大の発見。ブラジルは数年後にはこの石油を国内消費だけでなく輸出することを計画しており、埋蔵量探査とその後の石油生産は、今後20年にわたる国家計画の重要な部分を占めている。
こうした背景からブラジルでは、新技術の導入および造船業を含めた地場産業の育成が進められる一方、沖合のプレソルト層の油田を開発・掘削するためのドリル船をはじめとする各種船舶・海洋構造物の需要が増大している。
日本連合5社は資本参加を通じて、沖合での安全な石油生産に不可欠な各種設備の品質向上や納期短縮などの技術でエコビックス社に協力することによって、ブラジルの国家戦略にも貢献することになる。(編集担当:久保田雄城)